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R.I.P. ウォルター・ラングNo. 290

ラングさんはツアーのブッキングを自分で電話してきた by 岡本勝之

ラングさんはツアーのブッキングを自分で電話してきた。

「ミュンヘンからの電話」

午後9時ごろに携帯に非通知の電話がかかってきた。誰かなと思って出てみると「オッカモットサ~ン」と大きな声が。
ラングさんはツアーのブッキングをご自分でやっておられたようで、忘れた頃にこのように電話が何度もあった。電話をかける時間ははこちらの在宅時間にということか、時差を考えると向こうはお昼過ぎだ。

私の自宅古民家ライブスペースに室舘彩さんとデュオでお越しいただいてから、響きが気に入ったと言っていただき、都合4回演奏していただいた。私は会社勤めの合間にライブを催していたので、週末でなければ難しい旨は何度か伝えてあった。「土曜日なら東北から山陰へ行く間に一日空きがあるので行きたい。その翌日は四国へ行く」といった、相当にハードなスケジュールを提案されることも何度か。


※富山県高岡市 Jazz Factory SCATにて。『ユーラシア』が出た頃。

会話は英語だったが、ネイティブではない者同士、お互いにちゃんと理解できているか確認しながら話を進めていたように思う。そういうところは丁寧だった。
駅の南北出口を間違えて遭遇できなかったり、ホテルから公園へジョギングに行って迷子になって戻って来れなかったり、思い出すのは微笑ましい事件ばかりだ。

旅を楽しみながら日本各地へ素晴らしい音楽を届けたナイスガイ。毎日のハードな移動の中、それぞれ異なる会場の響きやお客さんの呼吸などを楽しんでいたのだろう。

次回ソロで来ることがあれば共演をという約束は果たせずじまいだった。


岡本勝之 Katsuyuki Okamoto
1960年富山県生まれ ベーシスト エリック・マリエンサル、ウラジミール・シャフラノフ、リッチー・コールなど国内外プレイヤーと共演多数。地元ビッグバンドのリーダーとして米モンタレー、スイス・モントルーのジャズ祭に出演。高岡市郊外の古民家を改装、自宅兼ライブスペースとしてライブ主催多数。富山シティエフエム「JAZZ CITY」のパーソナリティーを24年にわたり務めている。

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