#05 『The goat on a peak/Ghost Peak 』
『The goat on a peak/ゴースト・ピーク(宮崎真司 、田村夏樹、栗田妙子、水谷浩章)』
text: Ring Okazaki 岡崎凛
レーベル:Stereo Equipment Music Works
released: December 10, 2023
Ghost Peak:
宮崎真司 Shinji Miyazaki : Guitar / composition
田村夏樹 Natsuki Tamura : trumpet
栗田妙子 Taeko Kurita : Piano
水谷浩章 Hiroaki Mizutani : Bass
1. Summer days
2. A goat climbs a peak
3. Unwritten law
4. gone
5. The nebulos Crowd (Ghost peak suite part 4)
Recorded at 100BAN HALL in Kobe, Hyogo,Japan on March 4th, 2023
Engineered and Mixed by Akihiko Goto (Time machine record) with DC recording system development
production by Akihiko Kaneta
Piano tuning by Yuko Suzuki
Cover artwork by Syunsuke Abe
もつれ合う「言葉」が4者の楽器によって語られ、独白から会話となり、意志疎通の糸口を探している。ある者は訥々と、ある者は早口に語り、やがて和やかなひと時を迎えるが、まだ徐々に不穏なムードに包まれていき、ノイジーなやりとりを始める。
ダンスのように、演劇のように、もつれ合う音は少し整然としたかと思えば、再び解体され、ゆらめくように広がり、妥協を拒みながら互いに反応する。不規則なリズムで心の内側を語るようなピアノやギター、激しく弾かれるベース。4人のざわめきが静まると、トランペットの音が伸びやかに響き渡る。
Ghost Peakの4人を聴いたのは、2023年3月初め、大阪市大正駅に近いStudio T-BONE(スタジオ・ティーボーン)だった。フライヤーに4人の名前が並ぶのを見ても、このドラムレスのカルテットがどんな演奏をするか想像もつかなかったが、自由即興がメインになるだろうとは予想した。(おそらく誰もがそう考えるだろう。)実際に聴いてみると、彼らの奏でる音が混沌から立ち上がって一体化していく過程が素晴らしく、温かみのあるトランペットの音がとりわけ心地よい。
4人はこの日の翌日、3月4日に神戸の100BAN HALLでレコーディングライブを行い、その音源は、まず第1弾が『Ghost Peak 1』としてバンドキャンプで発表され、こちらはデジタルアルバムのみの発売だった。予想通りの素晴らしい内容だったので、CD化を希望していたのだが、宮崎真司本人に問い合わせたところ、その続編がもうすぐCD発売されるというので待っていた。そして今年の12月に、ついに完成したCDが手元に届いた。それがこの『The goat on a peak』である。今年(2023年)3月にライブ会場で体験した演奏のスリルが再び蘇ってくる。
4人の活動拠点は、熊本、東京、神戸、長野といろいろなので、ツアーのスケジュール調整は簡単ではないだろう。だが、なるべく多くコンサートを開いてほしいと願っている。
<本作の前編となるアルバム、『Ghost Peak 1』のバンドキャンプ音源>
<演奏者について、略歴など、各自のホームページその他より抜粋>
☆宮崎 真司 Shinji Miyazaki
Guitarist /Composer
1985年熊本生まれ。中学入学と同時に友人達と音楽を始める。宮崎大学入学後にモダンJazz研究部に入部。初めてJazzや即興演奏に触れ、2011年渡米。NYのクイーンズに居を構え、作曲を山本恵理(Piano)、ギターをBrad Shepik(Guitar)、Nate Radley(Guitar)に師事し、現代ジャズや作曲について学ぶ。
2015年4月、約4年のNY生活を終え熊本に戻る。自宅でギター教室をスタートし後進の指導に当たる。同時に楽器店のギターインストラクター、大学の非常勤講師なども務める。
Jazz、RockからNoise、Ambientなどの様々な影響を反映さつつ、独特の和声感覚とタイム感を感じさせるギタースタイルが持ち味である。
2022年にコロナ禍で延期になっていた自身のバンド「Ghost peak」を日本のContemporary Jazz / Free improvisation界の巨匠、田村夏樹(Tp)水谷浩章(Ba)栗田妙子(Pf)らと結成。なってるハウスや新宿Pit inn等の関東一円でライヴを行い好評を得る。5月に初のアコースティックソロアルバム「Light colored」をLPにてリリース。
Chu Makino(Vo)との「となりのうみ」、NY在住のドラマー竹内郁夫(Dr)との「Trio」などを定期的に行なっている。地元九州をはじめ、国内外の様々なジャズ・即興界の演奏家との共演も定期的に行なっている。
Japanese guitar player Shinji Miyazaki is a Jazz-Avantgarde-Punk rock guitar player/band leader/composer. based in Kumamoto Japan.
宮崎真司オフィシャルサイト:
https://shinjimiyazaki.com/
☆田村夏樹 Natsuki Tamura
Trumpeter/ Composer /Arranger
滋賀県に生まれる。
中学校入学とともにブラスバンド部に入る。高校ではしばらく音楽から離れるが、3年生の夏頃から又音楽を再開。京都にあるネグリジェサロンでプロデビュー。6月、上京。キャバレーのハウスバンド等を経て、スマイリー小原とスカイライナーズ、今城嘉信とザ・コンソレーション、宮間利之とニューハード・オーケストラ等で演奏。その後フリーのミュージシャンとしてアイドル歌手のツアーバンド、テレビ、スタジオ等で活動。…
http://librarecords.com/snj/profile1.html
Natsuki Tamura is a graduate of the Berklee College of Music and the New England Conservatory of Music. He has lived and honed his art in New York and Tokyo. He is active as a solo artist and in his own band “Gato Libre”. He has performed at many music festivals all over the world and he has released many recordings too.(バンドキャンプより)
☆栗田妙子Taeko Kurita
Pianist /Composer
即興を主体に様々な合奏を続けている。現在は自作曲を素材にしたピアノトリオ《ブルーシーツ》や外山明(drums)とのデュオの他、渋谷毅(piano)との《栗渋》、坂田明(as,cl)、水谷浩章(bass)との《水晶の詠》、植村花菜(g & vo)の《でこぼこカルテット》その他、多くのセッションやレコーディングに参加中。またバレエの伴奏にも携わり、舞台作品も多く書いている。2021年末には東京混声合唱団からの作曲委嘱作品を東混の定期演奏会で初演し(山田和樹指揮)好評を得る。東京生まれ。川を渡るのが好き。作曲は好きだが曲名を考えるのが不得意であるため川の名にすることが多い。
https://kuritataeko.jimdofree.com/
☆水谷浩章 Hiroaki Mizutani
Acoustic Bass and Electric Bass Player /Composer /Arranger /Producer
1963年生まれ。12歳の頃エレクトリック・ベースを初め、20歳からライブハウスなどで音楽活動を開始。コントラバスを吉野弘志氏に師事。
現在は、自己のユニット phonolite(木管、金管、弦を含む10人編成の変則ジャズ・オーケストラ)、phonolite trio(中牟礼貞則g、外山明ds)等を主催。phonolite stringsでは、浜田真理子、柳原陽一郎、さがゆき、高瀬”makoring”麻里子、原田郁子、青葉市子、柴草玲らとのコラボレーションなど幅広い活動を展開している。
山下洋輔、森山威男。坂田明、松風鉱一、大友良英、芳垣安洋、ほか多数のユニットに参加。また、作曲家、アレンジャーとしても活躍中。
http://www.ab.cyberhome.ne.jp/~mizmzic/profile.html