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R.I.P. パレ・ダニエルソンNo. 315

剛柔併せ持つ懐の深いベーシスト、パレ・ダニエルソン by 佐藤潤一

Text by Junichi Sato 佐藤潤一

R.I.P. Palle Danielsson (1946-2024)

Palle Danielssonほど剛柔を兼ね備え様々なミュージシャン、アンサンブルに溶け込むベーシストは稀有な存在だ。溶け込むと言うのは主張が無いなどネガティブな意味ではなくアンサンブルの中で気持ちいいスポットに居続けているのだ。北欧出身ならではの高度な楽器技術、高い音楽性、そして常にフラットな状態で共演者と音楽を作っていこうとする姿勢が無ければ出来ないことだと感じる。

そこで、今回はPalleが参加している私のお気に入りのアルバムを2枚紹介する。


『The Michel Petrucciani Trio / Pianism』
Michel Petrucciani: piano
Palle Danielsson: bass
Eliot Zigmund: drums
(1985年12月録音、Blue Note)

Michel Petruccianiの畳み掛けるような演奏に一切ブレることのないプレイでトリオのボトムを支えている。かと思いきや挑戦的な音選び、リズムのアプローチでバンドを煽ってアンサンブルのギアを一段も二段も上げているのは流石だ。トリオの織りなす緊張感溢れるインタープレイが最初から最後まで途切れずに圧倒される一枚となっている。
特にHere’s That Rainy Dayのベースライン、ソロは素晴らしい。
最初に剛柔を兼ね備えたベーシストと表現したがこのアルバムではPalle Danielssonの剛の部分を特に感じられると思う。


『Monica Dominique & Palle Danielsson / Togetherness』
Monica Dominique: piano
Palle Danielsson: bass
(2012年、Dominique Records)

Palle Danielssonの実姉、ピアニストMonica Dominiqueとのスタンダードや映画音楽のバラードナンバーを中心としたデュオアルバム。1枚目に紹介したアルバムとは打って変わりこのアルバムではPalle Danielssonの柔の部分を感じられる。決して派手な事はしないが姉弟が紡ぐ息のあったデュオサウンドは心が暖まる。またジャズのライブやセッションでよく演奏されるような有名な曲が多く取り上げられているので私のバイブル的な一枚にもなっている。

私はこれからも彼の遺した作品に触れ続けて彼のような素晴らしい音楽家に近づいて行きたい。

素晴らしい音楽をありがとう。
ご冥福をお祈りいたします。


佐藤潤一 Junichi Sato: アコースティック & エレクトリック・ベース
1991年生まれ、東京都出身。高校生でベースを始める。国立音楽大学ジャズ専修出身。ベースを井上陽介、金子 健 両氏に師事。2017年に行われた Jazz Festival at Conservatory (JFC)にて選抜ビッグバンド JFC All Star BigBand に2年連続で選出され「東京JAZZ」に出演。
近年では武本和大”THE REAL”、守谷美由貴カルテット、RINA Trioに参加。また自身のカルテット、トリオでも精力的に活動中。
最新情報は、 InstagramTwitter

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