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My Pick 2024このパフォーマンス2024(海外編)No. 321

#07 トン・クラミ 齊藤 聡

Text and photos by Akira Saito 齊藤聡

2024年7月6日 山猫軒
2024年7月8日 公園通りクラシックス

Kang Tae Hwan 姜泰煥 (alto saxophone)
Midori Takada 高田みどり (percussion)
Masahiko Sato 佐藤允彦 (piano)

8年ぶりのトン・クラミ来日公演。前回の2016年に下北沢の東京都民教会で観たとき、様々な太さと色の無数の血管が龍のようにうねり変化を繰り返すさまも、馴れ寿司のように三者が混淆するさまもよく覚えている。

今回はそれに加え、身体性が表現の一部をなしている印象を受けた。

高田みどりと佐藤允彦による当意即妙の即興は魔術的といってもよいほどのもので、身体の反応が音の場に有機的に組み込まれてゆく凄みがあった。

そして姜泰煥は循環呼吸で音を出し続けながら右手でタッピングのような刺激を与え、左手と身体全体で流れの勢いを激しく変える。ブレスにもタンギングにも実に多くの貌があり、真後ろから観ていると頬も背中も原始の生物のように動き続けていた。即興シーンに登場して長い時間が経ったが、いまだ誰も姜泰煥にはなりえないことを示す演奏に他ならなかった。

(文中敬称略)

◎山猫軒にて

◎公園通りクラシックスにて

齊藤聡

齊藤 聡(さいとうあきら) 著書に『新しい排出権』、『齋藤徹の芸術 コントラバスが描く運動体』、共著に『温室効果ガス削減と排出量取引』、『これでいいのか福島原発事故報道』、『阿部薫2020 僕の前に誰もいなかった』、『AA 五十年後のアルバート・アイラー』(細田成嗣編著)、『開かれた音楽のアンソロジー〜フリージャズ&フリーミュージック 1981~2000』、『高木元輝~フリージャズサックスのパイオニア』など。『JazzTokyo』、『ele-king』、『Voyage』、『New York City Jazz Records』、『Jazz Right Now』、『Taiwan Beats』、『オフショア』、『Jaz.in』、『ミュージック・マガジン』などに寄稿。ブログ http://blog.goo.ne.jp/sightsong

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