JazzTokyo

Jazz and Far Beyond

フリー・インプロヴィゼーション

インプロヴァイザーの立脚地No. 309

インプロヴァイザーの立脚地 vol.15 池田陽子

池田陽子はクラシックからロックを経て即興に入ってきた人である。2021年の終わりころに意に沿わぬ難聴を抱えてしまったが、それを機に、自分の音楽のあり方を見つめなおしている。それは音楽活動というものを考えるにあたり本質的なことにちがいない。

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インプロヴァイザーの立脚地No. 305

インプロヴァイザーの立脚地 vol.11 中村としまる

中村としまるはノー・インプット・ミキシング・ボードから強烈な音を出す人でありながら、自分の音という我を通すわけではなく常に飄々としているようにみえる。このギャップは、状況の変化とそれへの対処を愉しむというスタンスのゆえだ。

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Concerts/Live ShowsNo. 304

#1269 ブライアン・アレン+田中悠美子+今西紅雪

田中悠美子は、日本の伝統芸能界以外のコンサートにおいて伝統楽器を使うことについて「異なる文脈の中で日本音楽の独自性が際立つことに意義がある」と書いている。トロンボーンという西洋の金管楽器との即興演奏はまさにその実証でもあった。またアレンがどこか特定のルーツ音楽に拘るのではなく、アジアなどを旅しては演奏し、映像を撮る複眼的な者であることも、このトリオを特別なものとした。

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R.I.P. ペーター・ブロッツマンNo. 303

「どうでもいい」by 齊藤聡

ペーター・ブロッツマンが残した大傑作のひとつに『Nipples』(FMP、1969年)がある。2021年、アメリカのテレビ番組「The Tonight Show」の「Do Not Play」コーナーにおいて司会のジミー・ファロンが笑い飛ばしたことにより、この作品はフリージャズ愛好家以外にも知られることになった。なにしろ乳首であり轟音であり騒音なのだ。

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ウェストコースト・アンダーグラウンド通信Concerts/Live ShowsNo. 302

#1261 パトリック・シロイシ/東京の2夜

異能のサックス奏者パトリック・シロイシが日本公演を行った。ロサンゼルス在住のシロイシは日系のルーツを持つ(かれの祖父母は第二次世界大戦時の日系アメリカ市民を対象とした強制収容所で知り合って結婚した)。それだけに個人的な旅行を兼ねた今回の公演はずいぶん嬉しいものでもあったようだ。

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インプロヴァイザーの立脚地No. 302

インプロヴァイザーの立脚地 vol.8 竹下勇馬

竹下勇馬(楽器製作家、演奏家)はいくつものセンサーモジュールを取り付けた「エレクトロベース」、回転・揺動スピーカー、半自動楽器などを自作し、自ら演奏する。また近年は野鳥の撮影にも本腰を入れており、あまりのオリジナリティに誰もが戸惑っているようにみえる。その不可解さは少なくないインプロヴァイザーたちも惹き付けている。

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Local(国内)

5/16-23 フィールド – ダイクマン – フローリン / Drag it to the bottom – 日本ツアー2023

スイスを拠点とするふたりのインプロヴァイザー、トーマス・フローリン(ピアノ)とニコラス・フィールド(ドラムス)にアメリカからジョン・ダイクマン(サックス)が加わってトリオを結成。新アルバム『Drag it to the bottom』を引っ提げて日本ツアーを行う。

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BooksNo. 299

#118 『ロジャー・ターナー&マリ・カマダ / Junk Percussion – Notes for the Future』

英国の極めてユニークな打楽器奏者ロジャー・ターナーがパートナーのマリ・カマダとともに書き上げた本であり、ターナーが演奏に使う道具がひとつひとつ紹介されている。だからといって本書が「謎解きロジャー・ターナー」になるわけではない。なぜならば、ターナーは「パーカッショニスト」だからだ。

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インプロヴァイザーの立脚地No. 299

インプロヴァイザーの立脚地 vol.5 秋山徹次

ギタリスト・秋山徹次は独特極まりないスタイルを持っているようでいて、その一方でスタイルなるものとは対極にいるようにも思える。かれの演奏を予めイメージすることは困難であり、まさにそのことが秋山徹次という個性を特徴づけているようだ。

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インプロヴァイザーの立脚地No. 298

インプロヴァイザーの立脚地 vol.4 細井徳太郎

何年もの間、東京のシーンにおいてギタリスト・細井徳太郎の名前をみない日はほとんどない。かれの活動は多岐にわたっており、バンドも、デュオも、ソロでの弾き語りもある。そしてかれをジャズギタリストと呼ぶことは難しいかもしれない。それは活動領域ではなく指向性のゆえである。

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Concerts/Live ShowsNo. 297

#1240 神田綾子+柳川芳命+内田静男

フリー・インプロヴィゼーションとひとことで括ることは土台無理な話であり、なにがその場で行われているかについては演者自身にしか解らないことも、演者の自覚を超えて開かれた結果こそがものがたることもあるだろう。前者が後者の条件であるとは限らないが、少なくとも三者には明らかにそれがあった。

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インプロヴァイザーの立脚地No. 297

インプロヴァイザーの立脚地 vol.3 外山明

ドラマー・パーカッショニストの外山明は形式にまったくとらわれないプレイを行い、ポップスやジャズだけでなくフリー・インプロヴィゼーションのライヴも行っている。だが、外山自身の演奏に対する考えに照らすならば、この説明は本質的なものではない。仮に外部からフリー・インプロヴィゼーションを演っているように見えたとしても、外山にはそのつもりがないからだ。

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CD/DVD DisksJazz Right NowNo. 296

# 2223『スティーヴン・ガウチ+サンティアゴ・レイブソン+ウィリアム・パーカー+タイショーン・ソーリー / Live at Scholes Street Studio』

まずはタイショーン・ソーリーのサウンドの驚くべき大きさに魅了される。そして剛に柔に演奏を駆動するウィリアム・パーカー、かれらと対等に渡り合うスティーヴン・ガウチの個性と戦略。

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Concerts/Live ShowsNo. 294

#1235 MMBトリオ with 神田綾子・ルイス稲毛/林栄一

サックス・クラリネットのリューダス・モツクーナス(リトアニア)、ピアノのアルナス・ミカルケナス(リトアニア)、ドラムスのホーコン・ベレ(ノルウェーからデンマークへ移住)の3人から成るMMBトリオ、日本ツアー。初日は神田綾子・ルイス稲毛と、2日目は林栄一をゲストに迎えた。

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CD/DVD DisksNo. 293

#2196 『ブライアン・アレン+ゲオルグ・ホフマン / El Sur』

音楽だけでなく映画や書物も作ること、旅を愛することが、ブライアン・アレンという不思議なトロンボニストの思想を形成しているように思えてならない。このアルバムも、旅の途中のスイスでゲオルグ・ホフマンと会い、持ち歩いていたプラスチックの軽いトロンボーンで初めて手合わせし、なにかのプロセスの音として作ったものだ。

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Concerts/Live ShowsNo. 292

#1225 カール・ストーン+吉田達也+神田綾子 with 小林径

時間の流れに沿った相互作用だけでなく時間軸を伸縮させる縦波を前提としたふるまい、三者ではなく自分自身の影をメンバーに呼び込んだ共演。それによる予期せぬ現象は三者の力量によって平衡を獲得するが、さらにそこから次の相と新たな現象・平衡へと移行する。驚くべきダイナミクスだ。

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CD/DVD DisksNo. 288

#2169 『池田謙+マッシモ・マギー+エディ・プレヴォ+ヨシュア・ヴァイツェル/Easter Monday Music』

ロンドンのサックス奏者マッシモ・マギー、ドイツ・カッセルの三味線奏者ヨシュア・ヴァイツェル、日本のエレクトロニクス奏者の池田謙は、打楽器奏者エディ・プレヴォ主宰のワークショップで知り合った仲である。プレヴォも、また最近帰国した池田も、長い間ロンドンが活動の拠点だった。したがって、このときヴァイツェルのみが海を渡り、ロンドンのCafe Otoに集まったことになる。

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CD/DVD DisksJazz Right NowNo. 286

#2155 『ダニエル・カーター+石当あゆみ+エリック・プラクス+ザック・スワンソン+ジョン・パニカー/Open Question Vol. 1』

ニューヨークでもパンデミックの隙を見つけて演奏活動が続けられている。サックスの石当あゆみ、ピアノのエリック・プラクス、ベースのザック・スワンソン、ドラムスのジョン・パニカー、それにマルチ・インストルメンタリストのダニエル・カーターが加わった。自然体にして遠慮することのないおもしろさがゆっくりと伝わってくる演奏だからこそ、この続きもまた聴きたくなるというものだ。

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このパフォーマンス2020No. 273

#02 2020年 不失者コンサート

かつてハードロックの突然変異と呼ばれた不失者は、決して特殊な異端者ではなく、音楽表現の在り方としては正統派に他ならない。それはコロナ禍が完全に収束しない中、演奏するのが待ちきれないとばかりに出演を快諾したゲスト・ミュージシャンの満足そうな笑顔を見れば明らかだ。

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BooksNo. 259

#096 『フリー・インプロヴィゼーション聴取の手引き』

即興音楽を聴く/聴いてみようと思う人のためのガイド本。ターゲットにしているのは、コアなファンだけではなく、むしろ即興音楽の周辺で入口を見つけられずにいるリスナーや、即興音楽に接したことはあるがどう聴いてよいかわからないでいる人たちだ。著者は聴取行為をバード・ウォッチングに喩えながら、軽快な筆致で即興音楽に馴染みのないリスナーにも聴取のポイントを解き明かし、即興音楽の深い森に入っていく。

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