ECM 春の新譜5タイトル
春を迎えてECMのリリースも本格的になってきた。3月12日には既報の『Hosokawa/Mozart | Momo Kodama/Seiji Ozawa』(ECM NS 2624)、邦題『モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番・細川俊夫「月夜の蓮」/児玉桃 ・小澤征爾&水戸室内管弦楽団』に加えて『Danish String Quartet / Prism III』(ECM NS 2563)、邦題『プリズム III~ベートーヴェン/バルトーク/J.S.バッハ/デンマーク弦楽四重奏団』が ECM New Seriesとしてリリースされた。
続いて 3月19日には、ニック・ベルチュの初のソロ・アルバム『Nik Bärtsch / Entendre』(ECM 2703)がリリースされたが、entendre(アントン)はフランス語で「聞こえる」を意味する。ニックはソロで2017年に中東ツアーを行い、テヘラン、カイロ、アレキサンドリア、カルカッタ、デリーなどを歴訪しており、2019年にはNYリンカーン・センターで行われたECM50周年記念イベントにもソロで出演している。グループで演奏されてきた曲のソロ演奏も興味深いが、ニックは、地元のルガーノのスタジオでマンフレート・アイヒャーをプロデューサーに迎えて録音(2020年9月)できたのも成功の大きな要因と認めている。ニックの著書「 Listening: Music – Movement – Mind」も同時に刊行されたが、LP発売は5月に予定されている。
3月の3タイトルに続いて4月9日に発売が予定されているのは、『Sinikka Langeland / Wolf Rune』(ECM2674)と『Thomas Strønen Ayumi Tanaka Marthe Lea / Bayou』(ECM 2633)の2タイトル。シニッカ・ランゲランの『ウルフ・ルーン』は、ノルウェーの”フィンランドの森”生まれのカンテレ奏者/フォークシンガーの60歳を記念した初めてのソロ・アルバム。シニカは民衆の聖歌、シャーマン的なルーン・ソング、さらには伝統的な踊りの歌にさまざまな詩を乗せて歌い奏する。
デビュー・アルバム『Thomas Strønen Ayumi Tanaka Marthe Lea / Bayou』をリリースしたドラムスのトーマス・ストレーネン、ピアノの田中鮎美、クラリネット、歌、パーカッションのマルテ・レアの3人はロイヤル・アカデミーに学ぶ仲間だった。ピアノの田中はストレーネンのグループ「Time Is A Blind Guide」で一足先にECMデビューを果たしたが、トリオは2年間にわたって毎週出会い自分たちの音楽を模索し続けたという。音楽は、コンテンポラリー・クラシカル・ミュージック、フォーク・ミュージック、ジャズなどなどからエッセンスが抽出され、静かでミニマル的なることもあったがスポンテイニアスなスピッリトはこのデビュー・アルバムに反映されているという。タイトル曲の<バイユー>だけは、古いノルウェーのトラッドを引用したもの。録音はルガーノのスタジオでプロデューサーにマンフレート・アイヒャーを迎えて。
『Danish String Quartet / Prism III』(ECM NS 2563)
『Hosokawa/Mozart | Momo Kodama/Seiji Ozawa』(ECM NS 2624)
『Nik Bärtsch / Entendre』(ECM 2703)
『Sinikka Langeland / Wolf Rune』(ECM2674)
『Thomas Strønen |Ayumi Tanaka| Marthe Lea / Bayou』(ECM 2633)
https://ecm.lnk.to/WolfRuneFP?fbclid=IwAR3ddkikozw_Xn816FnVc2VPHl8Whu2PYILxeBd5HyIthIpvPFkUueK71hg