謝明諺(シェ・ミンイェン/Minyen Hsieh) 2023年12月
特にジャズシーンにおいて欧米のミュージシャンが取り上げられる機会は数あれど、アジアのミュージシャンに注目が集まる機会はさほど多くない。彼らの活動や情報が言語の壁に阻まれてなかなか行き渡らないということが、国内ジャズシーンの抱えるジレンマのひとつなのかも知れない。
今年2023年、ジャズピアニスト・スガダイロー率いるnew little one(ギタリスト細井徳太郎、ドラマー秋元修)との共同名義のアルバム『Our Waning Love』をリリースした台湾出身の謝明諺(シェ・ミンイェン/Minyen Hsieh)の音楽性の幅広さには知れば知る程に驚かされる。
フリージャズの巨匠・豊住芳三郎との共演、現代音楽集団Go Go Machine Orchestraへの参加、実験的電子音楽家の音速死馬(ソニック・デッドホース/Sonic Deadhorse)とのノイズヒップホップユニット非/密閉空間での活動、その他ポップスやロックや伝統音楽など、ブリュッセル王立音楽院に学び、ジャズや即興演奏という基礎を持ちながら自身をジャンルに縛りつけることなく多面的に行われる活動を見ると、「現代アジアを代表するサックス奏者・音楽家のひとり」という呼称は決して大袈裟なものではない。
前回のツアーでは主に日本国内の気鋭の中堅ミュージシャンたちと共演を行なってきた謝明諺が、今回12月のツアーでは日本を代表する面々との共演を行う。どれもが全く違う音楽になるであろうことは彼の音楽性の持つ柔軟性と力強さの証であろう。日本のジャズシーンに確実なフットプリンツを残していく謝明諺の演奏を、間近で観ることができる間に是非体験して欲しい。
♫ ライブ・リンク集
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