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7/21 15:30~「テイスト・オブ・ジャズ」60周年記念特番 75分

ラジオNIKKEI(旧ラジオたんぱ)の看板番組のひとつ「Taste of Jazz (テイスト・オブ・ジャズ)」が、8月に60周年を迎えるにあたり、75分の特番が放送される。数少ないジャズ番組でありながら短波放送であったために受信には短波ラジオが必要だったが、2010年に Radiko(ラジコ)がサービスを開始、時間や場所を問わずスマホやPCで聴取できるようになって以来人気が爆発、今やNHK-FMの「Jazz Tonight」と並んで2大ジャズ番組と目されるようになった。番組はジャズ評論家としても知られる小西啓一氏が制作プロデューサー、山本郁(かおる)さんがパーソナリティとして水も漏らさぬ見事なタッグを組み、毎回ジャズ・ミュージシャンを中心としたゲストを迎え新譜を流しながらテンポ良く展開する。放送は毎週日曜日19:00~19:30だが、以後1週間はRadikoの「聴きのがし」サービスを通じて自由に聴取できる。特番では、山下洋輔、阿川泰子、鈴木良雄、原朋直、カルロス菅野、井上銘、新宿ピット・インの佐藤良武会長、ジャズ・ライフ、ジャズ・イン両誌の代表兼編集長等などからのエールを織り込みながらさまざまなジャズがオンエアされる予定。

Taste of Jazz
https://www.radionikkei.jp/music/
Radiko
https://radiko.jp/#!/ts/RN1/20250706190000

以下、担当プロデューサーの小西啓一氏からのメッセージ;

 “ジャズ日和/ジャズ番組60周年”
60年、人生で言えば還暦。一つの大きな節目だし、ある種の帰結点でもある。その60年目をこの8月初め、ぼくの担当するジャズ番組「テイスト・オブ・ジャズ」(ラジオNIKKEI、旧ラジオたんぱ)が迎える。詳しく調べた訳ではないのだが、恐らく継続的に続いているジャズ番組としては、世界中でも最長寿のもののひとつではないかと思う…。まあ本当によく続いたものだし、続けさせてくれたものでもある。局の編成担当などにも謝謝(シエシエ)の念も強い。

ぼく自身はこの番組を担当して50年強。元々は局の先輩ディレクターだった、ジャズ関係者にはかなり有名な存在で、ある意味毀誉褒貶も激しかった故木全信氏(ケニー・ドリューを人気者に仕立て、数多くのジャズ・アルバムもプロデュース、『ジャズは気楽な商売』などのジャズ本もあり)がスタートさせたジャズ番組。彼がレコード会社”ビクター“に移るということで、彼からお前に後を任せる…と言われ、番組担当になったという経緯なのだが、以降延々と50余年。ラジオ局員だった時代は(今は悠々自適の瘋癲チャンジー(爺さん)だが…)、制作関連セクションが長かったが…、宮仕えの常としてはそれだけでなく、報道やスポーツ、営業企画など、総務・経理関連以外は色々と担当させられた。だがセクションが移動になっても、後輩アナウンサーなどに頼み、余り間を置くこともなく、継続的に「テイスト・オブ・ジャズ」の看板を守り続けて来た。ある意味 “虚仮(こけ)の一念” のなせる技で、今日まで継続…だったと言えるかも知れない。

 ハーブ・アルパート&ティファナ・ブラスの60年代の大ヒット曲、<蜜の味=テイスト・オブ・ハニー>をもじって付けられた、この「テイスト・オブ・ジャズ」。そのタイトルの由来や番組スタート時の苦労話など、少し位は聞いてはいたのだが、いつからスタートかは木全氏自身もしかとはせず、ここ数年は聞かれると50数年の歴史…等と、人には答えていた。だが今回、局の後輩のお偉いさんがある編成資料を見つけ出し、正式に1965年8月スタートだと判明した。そこでこの7月祝日(海の日)に、1時間半弱の「60周年記念特番」を放送。山下洋輔、阿川泰子、鈴木良雄、原朋直、カルロス菅野、井上銘、新宿ピット・インの佐藤良武会長、ジャズ・ライフ、ジャズ・イン両誌の代表兼編集長等など、老若男女問わずに様々なジャズ関係者10数名から、嬉しいことにお祝いメッセージも届き、それ等を基に今回記念番組を作り上げた。また色々探すうちに、番組スタート時のPR文も見つかり、それにはこうある。”最近はロック音楽が殆どで、ジャズ愛好家の不満も相当溜まっています。しかしジャズ番組は今殆んど見当たりません。そこで特に地方の愛好家の為にも(短波放送という全国媒体を意識してか…)、リアル・ジャズをふんだんに楽しんでもらう番組です。(中略)最終週には聴取者の方からのリクエスト特集を、また各地方のジャズ愛好会と常に連絡を取りながら、愛好会同士の交流なども図っていきます。必ずやジャズ愛好家に満足を与える番組になると思います…“。60年間の歴史を感じさせるPR文ですね。

ところでこれまでこの番組にゲスト登場した、ジャズメン&シンガー、ジャズ・プロデューサー等など、いわゆるジャズ関係者はゆうに1500名を超す。所謂大物ミュージシャンで言えば、渡辺貞夫、上原ひろみの2人を除く、残りのほとんどの人(アルバムをリリースしたことのあるミュージシャン、シンガーと言った意だが)が、一度はスタジオに遊びに来てくれたのでは…とも思う。もう亡くなられてしまった方も少なくない。貞夫さんについては、ぼくが番組に関わり出した最初の頃、即ち早稲田大ジャズ研仲間のチンさんこと鈴木良雄、マスオちゃん増尾好秋の2人が、貞夫バンドに丁度抜擢された頃だけに、何度か貞夫さん関連のジャズ特番を組んだことはあったが、レギュラー番組にはある事情があって、登場は全くなし。一方ひろみについては、デビュー直後に出演オファーの依頼話があったが、スケジュールの関係などでNGとなり、以降はあれよ、あれよ…という間に“世界のひろみ”になってしまい、ゲスト出演も叶わず…。まあ残念な話ではあります。この “JAZZ TOKYO” 関連で言っても、今は亡き主幹・悠雅彦氏や編集長の稲岡邦彌氏など何人かの方達も、スタジオにゲスト参加してくれている。ぼく自身はこの番組に一度は顔を出してこそ、真のJ-ジャズ関係者…といった様な、不遜な考えを持っている訳ではないが、本当に多くの面々にスタジオに遊びに来てもらった…という、秘かな自負は確かにある。

“遊びに…” などと記すと、もう少し真面目に取り組め…などとお小言の一つも言われそうだが、このスタジオに“気楽に遊びに…” のゆるい感触が、番組長続きの一つのポイントだとぼくは信じている。どジャズからフュージョン、オールド・スタイル、ラテン・ジャズからクラシック関連、ワールド・ミュージ関連迄、なんでも感も強い。流石にゴリゴリのフリー・ジャズ・プレーヤー達は、パーソナリティー山本郁嬢の手に負えない面もあり、あまり登場してはいないが、あとは来る者拒まずの無手勝流。

しかし、今はゲスト主体のジャズ番組だが、番組を担当した初期の頃は何かと苦労の連続で、ミュージシャンやシンガーを招く…などということも余り多くなかった。と言うのも“短波”という音楽番外地の劣悪電波だけに、スタジオに招いたミュージシャン達からも”小西さん、番組誰が聞くの…。南極越冬隊員、山小屋の客、中国のジャズ好き…(これらでは良く聞こえたり、わずかに聞こえたりもした…)“等と、揶揄されることもしばしば。こちらもバツの悪い思いでそう頻繁にはゲストを呼ぶに至らなかったのだが、こちらの地道な努力なども徐々に功を奏し、また短波放送という全国放送の利点が、”Radiko:ラジコ“の登場で劇的に変化・進化。今や”ラジコ“の”タイム・フリー“ランキング(1週間番組を自由に聴けるサービス)では、常に全国3位とか時には2位も獲得、この6月時点では4位だったが(残念ながら1位は未だ無し)、昔を思うと隔世の感強しなのです。

また短波ラジオ局だっただけに、前にも記したように電波の性質からも、音楽番外地といったイメージも強く、局員もそんな意識の連中も少なくなく、番組を担当した初期の頃には、番組制作面でも何かと横槍が入ったりもした。パワハラ気質のベテランの局員からは、“何を遊びの番組などをやっているんだ。ちゃんと真面目に仕事をしろ…” などと、常に嫌味を言われ続けたりもした。まあ苦節10年もやんわりとやり過ごせば、流石にそんな声も殆ど消え去ったが、何かと苦労の連続ではあった。普通のラジオ局ではまず考えられない事実である。

まあそれやこれやを乗り越え今がある訳だが、60周年記念特番は番組スタート時の1965年に吹き込まれた、ハービー・ハンコックの銘品<処女航海>、この曲でエンディングを迎えるように構成した。60年を迎えまた新たなジャズ航海へ…。この船旅が果たして何時まで続くかは分からないが、またきっと若いジャズ愛好家のスキッパーが登場、ぼくに代わり航海を続けてくれることを信じ、当面は頑張っていこうと思っている。それまでは、よろしくお願いします。(小西啓一)

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