JazzTokyo

Jazz and Far Beyond

閲覧回数 492

Local(国内)News

「渋谷ジャン・ジャン」の伝統も引き継ぐ「公園通りクラシックス」が一時休業
9/29 sonora do silêncio〜沢田穣治、柳原由佳、太田 剣

Text by Hideo Kanno 神野秀雄

●渋谷「公園通りクラシックス」が一時休業
渋谷のランドマークが次々と無くなり、文化を担ってきたバーや飲食店が無くなり、区画ごと街が消滅し、渋谷の街の表情が変わっていく中、渋谷区宇田川町、公園通りで特別な存在感を持ち続ける日本基督教団 東京山手教会。その地下駐車場通路を通って入って行った先にあるのが「公演通りクラシックス」。「代官山クラシックス」から移ってきて以来、素晴らしい音響を持ちながら、ジャンルに紐付かない立ち位置で、ジャズからクラシックまで幅広い音楽家に愛され、新しい音楽を育み、数々の名演を産んできた。「JazzTokyo」関連では、2023年11月に、元主幹・悠 雅彦のお別れの会を催したのもここだった。いまのところ「すべてのBookingが終了した」旨の告知がウェブサイト上でなされ、実際、12月31日でスケジュールが終了している。これまでに通ったファンも、行ったこともない方も、またかつて存在した「小劇場 渋谷ジャン・ジャン」に思い入れがある方も、12月31日までの公演に足を運んでいただきたい。事情をよく知るわけでもなく、それを語る立場にもないが、音楽的・経営的理由ではなく、所有管理サイドの理由と思われるので、場所を替えての存続に期待したい。

●「渋谷ジャン・ジャン」の時代
日本基督教団 東京山手教会は1948年に伝道を開始し、1966年にこの教会を建てた。なお、東京山手教会の設計者は山口文象と毛利武信で、ちなみに毛利は成城学園前のECMリスペクトなカフェ/ジャズクラブ「Cafe Beulmans」の2代目店主 吉岡剛秀の建築科での担当教授という因縁もある。その直後の1969年7月から2000年4月まで存在したのが「小劇場 渋谷ジャン・ジャン」。当時の主要スペースは貸スタジオとなっているが、「公園通りクラシックス」はその事務所などがあったバックスペースとなっている。音楽では永六輔、中村八大、美輪明宏、矢野顕子、坂本龍一、山下達郎、高柳昌行をはじめ幅広いジャンルのレジェンドたちが出演していた。筆者個人としては、矢野顕子ピアノソロに想い出があり、<ひとつだけ>の名演とともに記憶している。

●9月29日 「公演通りクラシックス」での最終公演を迎える
「sonora do silêncio」〜沢田穣治、柳原由佳、太田 剣

「sonora do silêncio」 at 渋谷・公園通りクラシックス
2025年9月29日(月) 19:30
沢田穣治 Jyoji Sawada: contrabass
柳原由佳 Yuka Yanagihara: piano
太田 剣 Ken Ota: sax
公演の詳細と予約はこちら

結成間もない2023年12月に「the second contact」ライヴとして公演を行なって以来、生まれたてのトリオユニットにとって、公園通りクラシックスは大切な「ホーム」となった。2025年9月29日(月)が「公園通りクラシックス」における最終公演となった。ここでの公演が多かった沢田穣治にとっても9月29日(月)が最終となる。この機会に歴史的なハコを体感しに来て欲しい。それ以外の多様な公演についてもスケジュールをチェックしてみることをお勧めしたい。

最後に東京山手教会の正面の言葉について。十字架とともに書かれた言葉は、ヘブライ語で「シャローム」と書いてある。世界のそしてガザでの愛と平和を、渋谷から宗教を超えて祈りたい。

<2018 March> (柳原由佳) 2024年9月27日、横濱エアジン

<Surreal Sunset> (柳原由佳) 2024年5月7日、京都 Live Spot RAG

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。Facebookグループ「ECM Fan Group in Japan - Jazz, Classic & Beyond」を主催。ECMファンの情報交換に活用していただければ幸いだ。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください