# 1454『Gary Peacock Trio / Tangents』
text by Masanori Tada 多田雅範
ECMレーベルの新作を聴くシリーズ 2017秋 #5
ECM2533
Gary Peacock: double-bass
Marc Copland: piano
Joey Baron: drums
1. Contact (Gary Peacock)
2. December Greenwings (Gary Peacock)
3. Tempei Tempo (Gary Peacock)
4. Cauldron (Joey Baron)
5. Spartacus (Alex North)
6. Empty Forest (Gary Peacock, Joey Baron, Marc Copeland)
7. Blue in Green (Miles Davis)
8. Rumblin (Gary Peacock)
9. Talkin’ Blues (Marc Copeland)
10. In And Out (Joey Baron)
11. Tangents (Gary Peacock)
Recorded May 2016, Auditorio Stelio Molo RSI, Lugano
Engineer: Stefano Amerio
Produced by Manfred Eicher
『ゲイリー・ピーコック・トリオ/タンジェンツ』
「ゲイリー・ピーコック、傘寿を弾く」
ECMレーベルの新作を聴くシリーズ2017秋、第五打席、正しい老齢年金の受給方法を指南されているような耳をそばたてずにはいられない安定した口調、演奏、
マーク・コープランド69もジョーイ・バロン62も、つい輸入盤屋の店頭で耳をそばだててきた、実力のあるプレイヤーではあった、ずっとここ30年、二人とも還暦を過ぎているのか?いつの間に!、おれも老いるわけだぜ、
ゲイリー・ピーコック、ポール・モチアン、菊地雅章、ジャズの神に選ばれしトリオ、テザート・ムーン、の、最高傑作は何だ?、と、聴取に自信のありそうなマニアに出会ったときには尋ねることにしている、『ファースト・ミーティング』と答えられた御仁にだけ、わたしと友だちになる資格を与えている、
では、ゲイリー・ピーコックがジャズ史に刻んだ4つのエポックとは何か、はなはだ神格化され過ぎのきらいもあるだろうアルバート・アイラー~ゲイリー・ピーコック~サニー・マレイ『スピリチュアル・ユニティ』が筆頭だろう、アイヒャーがECMを興す起動を与えた点でも(てな書き出しに、聴いているうちにトランスして筆が止まる)、(あとの3つは何なんだー)、
与太っているばやいではない本盤に戻ろう、ゲイリー・ピーコック80、健在だ、スタンダーズ後期の蓄積疲労を心配するような演奏ではない、成立している演奏の力学のバランスが心地よいものだから、ついまったり聴いてしまう、これは本当にピーコックを聴くためのトリオだ、枯れたと言えばそうとも言うが、いい年のとりかたをしたものだと思う、ラストに収められた表題曲「Tangents」はセンターに立ってモノローグを弾くような、それでいてベース奏者によっていかにレベルが上がるものか感嘆するばかりの、若い奏者は大いに触発されてほしい、トラック、
「ベース奏者によっていかにレベルが上がるものか」と形容できるベーシストはジャズ史において、スコット・ラファロ、ゲイリー・ピーコック、トーマス・モーガンだけです、