#1471 『Rent Romus’ Lords of Outland / In the darkness we speak a sound brightness and life』
text by 定淳志 Atsushi Joe
Edgetone Records(EDT4189)
Rent Romus’ Lords of Outland:
Rent Romus – alto, soprano, c-melody saxophones, flute, overtone flutes
Collette McCaslin – trumpet, soprano saxphone, no-input analogue pedals
Philip Everett – drums, analogue synth, Xlarinet and lapharp
Ray Schaeffer – electric six-string bass, effects
- A pile of dust we emerge
- From a trunk buried in my closet
- See the path before you
- In the darkness we speak a sound brightness and life
- I’m starting to think it’s all in the wrist
- Rabbit Hole
- A construct is a barrier that everyone forgot
- As water we emerge to the path before us
- Open your hand and walk away
- Interstellar deletion
recorded Oct. 2016
前号で剛田武氏も紹介していた米国西海岸ジャズシーンの鬼才、レント・ロムス。50歳を迎える1月6日に向けて、自ら盛大に祝うかのように、新プロジェクトを含む旺盛な作品リリースを続けている。本作品は彼の数あるプロジェクトの一つ、1994年から20年以上にわたって、メンバーは流動的ながら活動を続けている「Lords of Outland」の通算13枚目の最新作。なおこのバンドは現在進行形の彼のプロジェクトの中ではおそらく最も古いもので、“抽象詩や社会政治詩、サイエンスフィクション、ホラー、ファンタジーに触発された即興からテーマ構成のスイートまで、オリジナルの音楽を探求している”とのコンセプトだそうだ。(初期にはジョン・チカイを迎えた作品や、アルバート・アイラー・トリビュートも残している)。
わたしがロムスに惹かれるのは、何といってもアルトサックスの音である。西海岸の先輩である故アーサー・ブライスをはじめ、シカゴのマーズ・ウィリアムズ、あるいはイタリアの才人ピエロ・ビットロ・ボン、日本ならば梅津和時といった人たちを思い出させる、エッジの立った輝かしい音。この音でメカニカルなフレーズからスクリーム、ノイズ、2本同時吹奏まで、即興だけでも十分やっていけるだろうにと思える圧倒的テクニックで、あらゆるバリエーションをものすごいスピード感で吹きまくるのだから快感だ。本作品ではアルトサックスを中心に多彩なリード楽器を手がけ、残る3人のメンバーも電子音を含むさまざまな楽器を駆使し、全員が音楽性を尽くして、おもちゃ箱のように大量の楽しいもの面白いものをぎゅっと詰め込み、10編のポップなサウンドアートに仕上げている。ロムスの活躍から、しばらく目を離せそうにない。