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及川公生の聴きどころチェックNo. 222

#304 『藤井郷子& ジョー・フォンダ / Duet』

Long Song Records LSRDC140 2,484円(税込)

藤井郷子 (p)
Joe Fonda (b,fl)
ゲスト:
田村夏樹 (tp-M2)

1. Paul Bley
2. JSN

Recorded on 11/15/2015 by Peter Nenortas, Satronen Sound at Woodfords Congregational Church in Portland
Mastered by Peter Nenortas
Produced by Joe Fonda, Satoko Fujii and Natsuki Tamura

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透明感溢れるピアノの響きの空間に、突っ込むベースの唸り。トランペットの特殊な奏法が、引き裂くように響き渡る。何とも不思議な音楽展開だが、愉快だ。録音の質が良いから楽器の雑音が異様な音空間を構成する。筆者が田村夏樹の録音に接した記憶から、これはパフォーマンスと気づく。

打楽器が空間を回遊して届く隙間の表現が凄くいい。ベースの勢いのある弦の緊張がピアノにバランスして溶け込む。

不思議を感じる録音である。録音の場所空間が大きく貢献している。教会での録音。スタジオ録音でリバーブ処理では得られないサウンド。この演奏を引き立てているのは、この残響だ。

及川公生

及川公生 Kimio Oikawa 1936年福岡県生まれ。FM東海(現 東京FM)技術部を経て独立。大阪万国博・鉄鋼館の音響技術や世界歌謡祭、ねむ・ジャズ・イン等のSRを担当。1976年以降ジャズ録音に専念し現在に至る。2003年度日本音響家協会賞受賞。東京芸術大学、洗足学園音楽大学非常勤講師を経て、現在、音響芸術専門学校非常勤講師。AES会員。

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