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このパフォーマンス2015(海外編)Concerts/Live ShowsNo. 214特集『クリス・ピッツィオコス』

#870 このライブ/このコンサート2015海外編#06 『Chris Pitsiokos』

2015年3月31日 Shapeshifter Lab、Don Pedro(ともにニューヨーク・ブルックリン)
text and photos by Akira Saito 齊藤 聡

<Shapeshifter Lab>
Lester St. Louis Large Ensemble:
Martha Cargo (fl)
Robbie Lee (contrabass recorder)
Chris Pitsiokos (as)
John Gattis (French horn)
Ben Stapp (tuba)
Zach Seely (g)
Carrie Frey (viola)
Lester St. Louis (cello)

<Don Pedro>
Chris Pitsiokos (as)
Greg Fox (ds)

愛好家たちの間で話題にのぼることが多くなってきていたアルトサックス奏者、クリス・ピッツィオコス。

矢も楯もたまらず、ブルックリンのShapeshifter Labに足を運び、「Lester St. Louis Large Ensemble」というグループでのピッツィオコスの演奏を観た。このアンサンブルは、チェロ、ヴァイオリン、ギター、フレンチホルン、チューバ、アルトサックス、フルート、手製のヘンな楽器の若い面々による8人編成。各人の実験精神溢れる演奏の中でも、ピッツィオコスのサックスは異質な強度を持っていた。

音量そのものが特に大きいというわけではない。鳥のささやきのようでもあり、自身の内臓をすべて吐き出すようでもあり。演奏の都度その姿を変えるキメラのようでもあった。

同じ夜、さらに電車で同じブルックリンにあるDon Pedroというバーに移動し、23時半ころから、グレッグ・フォックスとのデュオを観た。ピッツィオコスは、身体を前後に揺らしながら、直前に聴いた音よりもさらに振幅も強度も大きな音を発し続けた。バーで飲んでいた客もみんな出てきて、圧倒されて彼のブロウを凝視した。

(文中敬称略)

齊藤聡

齊藤 聡(さいとうあきら) 著書に『新しい排出権』、『齋藤徹の芸術 コントラバスが描く運動体』、共著に『温室効果ガス削減と排出量取引』、『これでいいのか福島原発事故報道』、『阿部薫2020 僕の前に誰もいなかった』、『AA 五十年後のアルバート・アイラー』(細田成嗣編著)、『開かれた音楽のアンソロジー〜フリージャズ&フリーミュージック 1981~2000』、『高木元輝~フリージャズサックスのパイオニア』など。『JazzTokyo』、『ele-king』、『Voyage』、『New York City Jazz Records』、『Jazz Right Now』、『Taiwan Beats』、『オフショア』、『Jaz.in』、『ミュージック・マガジン』などに寄稿。ブログ http://blog.goo.ne.jp/sightsong

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