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Jazz Meets 杉田誠一No. 302

Jazz meets 杉田誠一 # 121 追悼 原尞

つつしんで、原尞さんのご冥福をお祈りいたします。
果たして、アバンギャルドといわれていた時代 (1960年代後半から70年代初頭あたり) に、どれだけの人が、ピアニストとしての原尞さんを評価していたのか?
よく、法政大ニュージャズ・シンジケートでデビューしたときく。
しかし、原尞は、九州大卒。
さらにルーツを辿ると佐賀県は、鍋島藩の名家。残念ながら、足を運んだことはないが、原邸の一角には、名門スポット「コルトレーン、コルトレーン!」が在る。@鳥栖。
なお、ぼくが原尞と渋谷・OSCARで出会ったのは、1960年代末。
最後に出会ったのは、ニューレフト系の書店「寮原」神保町、1970年代初めである。
「カレッジ・ジャズのメッカ」OSCARはじめ、ジャズスポットの原尞は、いつだって寡黙。ぼくの知る限り、群れることを嫌っているよう。 休憩中は、大抵「ハヤカワミステリ」を読んでいる。

まずは、作家デビューの真実です。
ある日、早川書房編集部に、原稿がおくられてきた。
それはそれは、完璧な完全原稿。
字詰、行数、段数、総枚数。
誤字脱字はない。
「起承転結」をベースに、「転」で飽きさせない。
これはもうミステリの典型そのものである。
そのまま、印刷所に入稿しても、良いぐらい。
こうして、西新宿の私立探偵 澤崎は、誕生した。

合掌。

杉田誠一

杉田誠一 Seiichi Sugita 1945年4月新潟県新発田市生まれ。獨協大学卒。1965年5月月刊『ジャズ』、1999年11月『Out there』をそれぞれ創刊。2006年12月横浜市白楽にカフェ・バー「Bitches Brew for hipsters only」を開く。著書に、『ジャズ幻視行』『ジャズ&ジャズ』『ぼくのジャズ感情旅行』他。

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