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Jazz Vagabond 原田和男No. 233

#5 未知の国スペインへ

さあて、南仏コートダジュール地中海沿いにスペインへ、アフリカ、サハラ砂漠まで行くという旅が始まります。

最終目的地のサハラ砂漠へ行くには、先ずはスペインを南下し、ジブラルタル海峡をアフリカ側へ渡りモロッコへ出て南下するルートにしました。

フィレンツェを後に、過日訪れたピサへ出て地中海沿いの列車の旅です。そういえば、先月号でベッキオ橋の話をして写真掲載するのを忘れていたので、フィレンツ ェ出発記念に以下載せますね。46年後の現在も変わらぬ姿を留めているでしょう。

 

フィレンツェ最後の日午前中は、広場で子供達とサッカーをして過ごしたんだと、赤表紙のノートに書いてある。

ジェノバ、ニース、マルセイユを経てフランス、スペイン国境の地、サルバドール・ダリの居住地であるPortbou(ポルトボウ)からバルセロナを目指します。

あらかじめユーレイルパスを用意していたので、ファースト・クラス6人個室を  2人で貸切状態になるはずでしょう。早速乗車すると、ニースに行くというイタリアの老夫婦とコンパートメントは同席。いろいろ話しながらの旅。覚えているのは千代紙で紙風船を作って渡したら、孫にあげるんだと言って大事に背広の胸ポケットにしまったっけ。行く先々で喜ばれるだろうと鶴と風船の折り紙を覚えて行ったのが早速功を奏した次第也。ニースでポルトボウ行きの先頭の車両に移動しなければならないことになりました。移った時はすでに遅くファースト・クラスはバックパッカーで大入り満員、ビックリ呆然としたなあ、ほとんどがアメリカの若者達だ、ワンサカわんさかこの時代に旅してるんだぜ!

勉学とアルバイトに勤しんでいる?!日本の若者にしばし想いを....。

しばらく待っていたら、アメリカ人らしき女の子が親切にも二人座れると言ってくれたので、その娘の二等車のコンパートメントに移った。大学生で友人らと誘い合わせバイトで稼いでヨーロッパの旅だそうだ、若い時の旅は良いねえ....。  だいぶ時間が経ってアメリカの娘がファースト・クラスが空いたという友人の連絡で移動したので、我々はドアを閉めカーテンを引き二人切りの態勢にようやくなれたのだった。本来なら袖振り合うも多生の縁と乗り合わせた人々と交歓するのが良いのでしょうが....。落ち着きのんびり海岸線を眺めながらの心安らぐ旅となりました。

海岸線の旅は写真を見ればお分かりでしょう、200mm望遠レンズ の出る幕無し、残念ですがさすがにヌーディストはこの頃はまだ居ませんでした。

 
 

ポルトボウには早朝6時半に到着。簡単な入国審査を済ませそのままスペインに入るのかと思ったら大違い、列車の台車をスペイン軌道に合わせるために取り替えるんです。一時間くらいかかったでしょうか、これにはビックリしましたね!

ここから約180km、2時間かけていよいよバルセロナを目指します。着いたところ車窓から見えたのは大都会そのものの風景で早うんざりの我々はカフェでハムパンとビールを飲み地図を見てもう少し南下してみようということにしたのだった。

ああ、バルセロナ!その時はなんとガウディのサグラダファミーリヤもピカソ美術館の存在も知りませんでした。

幸いにも、海岸沿いに南下する電車は直ぐにやってきて、景色を見つつこ れはという駅で降りたのがタラゴーナという鄙びた駅で、美しい海岸の町でした。

教会を中心に家々が建ち並んでいったような感じの質素で慎ましやかな町で好きになりました。海を見渡せる広いバルコニーのある三人部屋バストイレ付きで2百ペセタ。宮原さんは荷解きもそこそこに泳ぎにでかけました。

私は、ビールを飲んでしばしの微睡み。しばらくして宮原さんの居るらしき突堤の方に泳ぎにでかけ写真の二人の子供にタバコをもらい、お礼に写真撮影。(そうだこの写真未だ渡してない、タラゴーナの市役所に今度事情を説明し、本人が分かるようなら渡して欲しいと郵送しましょうか!)しばらく話をしてホテルに帰りスペイン第1日は幕を降ろしたのでした。


 

さて次回は、アフリカへ渡りモロッコからサハラ砂漠、スペインに戻りグラナダ、

アルハンブラ宮殿、マドリード、闘牛まで歩を進めます。

原田 和男

原田和男 Kaz Harada 昭和21年東京生まれ。早大商学部卒。在学中はモダンジャズ研究会に所属。鈴木良雄(b)と同期、1年後輩に増尾好秋(g)がいる。サラリーマン生活を経て、トリオレコード入社、ジャズ担当となり、渋谷毅、田村翼、峰純子、酒井俊などを手がける。製薬会社勤務を経て、現在、Power Designを主宰。

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