宮本貴奈『Kenny Wheeler / Music for Large and Small Ensemble』
『ケニー・ウィーラー/ミュージック・フォー・ラージ・アンド・スモール・アンサンブル』
JazzTokyo様、創刊300号おめでとうございます。
さて、ECM..一枚なんて絶対無理です!(笑). Keith Jarrettの二枚組『Still Live』始め、ケルンコンサート、Standards Vol 1 & 2, At the Deer Head Inn…などなど、キース作品を選ぶ方は多いでしょうから、そこで敢えて、日本では知名度が低すぎるかも知れない Kenny Wheeler の名作『Music for Large and Small Ensemble』(1990年)を選びました。Berklee音大在学中に出逢い、作曲家・アレンジャーとしても大きな影響と学びを頂いた作品です。メロディーとハーモニーのセンス、ジャズ・オーケストラの各楽器の音色の重ね方やボイシングの積み方、ソリスト・フィーチャーなど、全てにおいて素晴らしいバランス感のあるアルバムです。Wheelerご自身のプレイも素晴らしく、2曲目の〈For H.〉は、私自身の『Wonderful World』(2020年)でもvocalise カバーさせて頂き、ミュージックペンクラブ音楽賞の最優秀作品賞を受賞したアルバムとなりました。Wheelerの『Double, Double You』(1983年)も、カセットやCDが擦り切れるまで聴いた愛聴盤です。
キースに戻りますが、『Still Live』1曲目〈My Funny Valentine〉の神を感じさせるピアノイントロの後、テーマに入って 2:26 の DeJohnetteの第一音のスネアには、毎回悶えます。(笑) あの空気感とサウンドもたまらないですね。『Still Live』の音は、自身の作品の音創りの参考にもさせて頂いております。
ECM 1415/16
Kenny Wheeler (Flugelhorn, Trumpet) John Abercrombie (Guitar) John Taylor (Piano) Henry Lowther (Trumpet) Ian Hamer (Trumpet) Hugh Fraser (Trombone) Ray Warleigh (Alto Saxophone) Duncan Lamont (Tenor Saxophone) Julian Argüelles (Baritone Saxophone) Dave Holland (Bass)
Peter Erskine (Drums) Norma Winstone (Vocal) Derek Watkins (Trumpet)
Alan Downey (Trumpet) Dave Horler (Trombone) Chris Pyne (Trombone)
Paul Rutherford (Trombone) Evan Parker (Soprano Saxophone, Tenor Saxophone) Stan Sulzmann (Tenor Saxophone, Flute)
Recorded January-February 1990
Produced by Manfred Eicher
宮本貴奈 みやもとたかな
ピアニスト・作編曲家。物語が見えるようなサウンドで、ジャズ、ポップスから弾き語り、オーケストラまで幅広く活躍。米英20年在住、約30カ国で演奏。
バークリー音大&ジョージア州立大修士卒。エドマンジャズピアノ大会で全米優勝、参加作が米グラミー2部門ノミネート。「アトランタベストジャズ(2年連続)」「 ジョージア州で最も影響力のある女性」他、受賞多数。
2013年帰国、 八神純子、佐藤竹善、サラ・オレイン、May J.、小野リサ、大黒摩季、城田優等と共演。アレンジ・プロデュース、オーケストラ編曲、音楽監督、劇版音楽まで幅広く手がける。国立音大講師。2020年『ワンダフル・ワールド』発表、ミュージックペンクラブ音楽賞全ポピュラー部門最優秀作品賞受賞。最新作は、Double Rainbow=小沼ようすけ×宮本貴奈の2ndアルバム『After the Rain』(Jump World)。 www.takana.net