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特集『ECM: 私の1枚』

井上陽介『Ralph Towner / Batik』
『ラルフ・タウナー/バティック』

ECMの中から一枚選ぶ、というのは非常に悩ましい選択です。特に80年代からジャズを始めたものにとって、黄金時代とも言える作品群がリアルタイムで押し寄せて来ました。王道で行くならキース・ジャレットのスタンダーズ、パット・メセニーの初期の作品群はどれも質、内容、そしてわかりやすさを兼ね備えており、音大の作曲科に学ぶものにとっては、他のジャズのレーベルのものよりも満足度が高かったのです。そして、なんと僕が青春時代を過ごした大阪には、ECMのレコードばかりを大量に販売するマニアックなレコード店があったのです。大学の先輩のピアニスト、石井彰さんと発見してからは、そこに入り浸るようになり、アーティスティックなジャケットと相まって、どんな音が収められているのか、想像するだけでも興奮して、一日中でもレコードを漁っていられる時間でした。そんな中で発見したのがギタリスト(ピアニストでもあります)のラルフ・タウナーでした。オレゴンという非常にユニークなグループも夢中になり、そのクラシカルなアプローチとモダンなジャズを合わせたようなハーモニー感覚の鋭い演奏と作曲には心を奪われました。その頃は既にキース・ジャレットには心酔していたので、その共演者のドラマー、ジャック・ディジョネットと、同じく夢中になっていたビル・エバンスのベーシスト、エディ・ゴメスとのトリオのレコード『Batik』を発見した時は、レコード店の中で思わず叫び声が出たほどです。早速購入して家に帰って何度も繰り返し聴いた名盤です。ベーシスト的には絶頂期のエディ・ゴメスのアルコ(弓)のプレイがふんだんにフィーチャーされているのがたまりません。3人のクールに装いつつ熱いインタープレイも聴き物です。


ECM 1121

Ralph Towner (12-String Guitar, Classical Guitar, Piano)
Eddie Gomez (Bass)
Jack DeJohnette (Drums)

1 Waterwheel (Ralph Towner) 09:18
2 Shades Of Sutton Hoo (Ralph Towner) 04:34
3 Trellis (Ralph Towner) 08:19
4 Batik (Ralph Towner) 16:15
5 Green Room (Ralph Towner) 06:17

Recorded January 1978, Talent Studios, Oslo
Produced by Manfred Eicher


井上陽介 いのうえようすけ
ベーシスト。1964年7月16日、大阪生まれ。大阪音楽大学作曲科卒。91年よりニューヨークを拠点に活動。97年には初リーダーアルバム「スピークアップ」を発表をリリース。在米中、ドンフリードマン、ハンク・ジョーンズなどの数々のグループでのレコーディング、ライブハウス、ヨーロッパツアーでの演奏など国際的に活動。2004年には活動の拠点を日本に移す。2004年には活動の拠点を日本に移す。2019年の「New Stories」まで9枚のアルバムをリリース。2021年9月に武本和大 (p) 濱田省吾 (ds)とレコーディングした10枚目の新しいアルバム「Next Step」をリリース。なお2007年度から3年連続スイングジャーナルの人気投票では1位など常に上位にランクされる。現在、自己のグループ他、塩谷哲、大西順子、渡辺香津美、古澤巌&山本耕史 Dandyism Banquetのレギュラーメンバーとして活動の他、佐藤竹善、JUJU、小野リサなど数々のセッションに参加し日本のみならず海外でも精力的に活動。毎年、春から夏にかけて自己のトリオでツアーを敢行。5月には東北方面、6月には中部、四国、九州方面へ。詳しくは井上陽介ウェブサイトをご覧ください。
http://yosukeinouejazz.sakura.ne.jp/index.html

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