#08 『GLERUM OMNIBUS / HANDFUL』
text by Yumi Mochizuki 望月由美
Favorite Records FAV10
TIMOTHY BANCHET(p)
ERUNST GLERUM(b)
JAMIE PEET(ds)
1 Radio Brtak(E.Glerum)
2 Omnibus Fifth(E.Glerum)
3 Hours & Seconds(E.Glerum)
4 Kinda Trouble(E.Glerum)
5 Sriwanah(Trad)
6 Cuaida(T.Banchet)
7 Missy Supa Nice(T.Banchet)
8 Cry Me A Rive(A.Hamilton)
9 Handful(E.Glerum)
10 Caroline Keikki Mingus(C.Mingus)
July 6, 2016 at Electric Monkey Studio Amsterdam.
エンジニア: Kasper Frenkel
私のこの一枚は、エルンスト・グレラムのしごく真っ当なピアノ・トリオ作。
今年の9月来日し、東京ジャズでハン・ベニンク(ds)とステージに立ったグレラムの新作は正統派のピアノ・トリオ。
前作の『SENTIMENTAL MOOD』(Favorite Records、2013)はユリ・ケイン(p)とのデュオで深く、荘厳な雰囲気をたたえてジャズへの畏敬の念、憧憬を表現し伝統の再発見を示してくれたグレラムであるが今回は明快でスインギー、聴いていて爽快な気分にしてくれる。
ピアノのティモシー・バンシェット、ドラムのジェイミー・ピート(ds)はアムステルダムを中心に活躍している中堅で、ここでも心の底から音を出し合うことを喜んでいるがそこをグレラムがきっちりと手綱を引き締め程よい緊張感を保っている。
これまで、ハン・ベニンク(ds)や、ミケル・ボルストラップ(p)、ユリ・ケイン(p)などの才人とのフリーなインタープレイが多かったグレラムであるが今回は一般的なソウルやブルースに根差したスイングもいいけど北欧流のスイングも出来るんだよ、というということを示してくれた点に着目してこの一枚に選ばせて頂いた。
このアルバム・レヴューを書いている最中の3月3日、ミシャ・メンゲルベルク(p)の訃報に接した、ちょうど結成50年であった。
長年ICPのメンバーとして行を共にしてきたグレラムもミシャなきICPを守っている一人である。
CD Review:
https://jazztokyo.org/reviews/cd-dvd-review/post-13807/