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GalleryNo. 272

Gallery #40「 Great 3:HS-DAT~ビギン・ザ・ビギン/テネシー・ワルツ」

text by Kenny Inaoka 稲岡邦彌

HS-DAT 『Great 3:菊地雅章 ゲイリー・ピーコック 富樫雅彦/ビギン・ザ・ビギン』
AEOLUS  AHT3  税込価格 ¥4,800

1. Summetime
2. Misty
3. Kansago-No
4. Begin The Beguine
5. Waltz For Step

録音:及川公生 1994.4.1/2 @東京・音響ハウス

HS-DAT 『Great 3:菊地雅章 ゲイリー・ピーコック 富樫雅彦/テネシー・ワルツ』
AEOLUS AHT4 税込定価¥4,800

1. Tennessee Waltz
2. Straight, No Chaser
3. Good-bye

録音:及川公生 1994.3.29 @新宿・Pit Inn


1994年に録音された Great 3:菊地雅章、ゲイリー・ピーコック、富樫雅彦の完全版が今年末にCD4枚組でリリースされることになった。1994年に録音されたスタジオ録音盤CD『ビギン・ザ・ビギン』、ライヴ録音盤CD『テネシー・ワルツ』に合わせてリリースされたのがこのHS-DAT2本。そもそもこの録音は、オーディオ・メイカー、パイオニアが発売したHS-DATデッキD-05のソフトとして企画されたもの。
DAT=Digital Audio Tapeは、1987年に規格化されたデジタル録音・再生用に製造・販売されたデジタル・テープで標準のサンプリング周波数は48kHz。アナログのコンパクト・カセット・テープよりコンパクトで、1980年後半〜1990年代には特にライヴ・レコーディングのマスターテープとしても活用されたが、最後のテープ製造メイカーであったSONYが2015年6月に生産を終了、その生命を終えた。
HS-DAT=High Sampling DATは、1994年にオーディオメイカーのパイオニアが民生用機器DS-05等に装備した仕様で、サンプリング・レートは標準の48kHzの倍の96kHzの高密度、走行速度も倍と設定されている。


左:Compact Cassette 右:DAT (wikiより)      HS-DATデッキ Pioneer D-05

ここで取り上げた「Great 3」のHS-DAT2本は、パイオニアのHS-DATデッキD-05用に製造・販売されたソフト。スタジオ録音とライヴ録音の2種があるが、ライヴ録音を収録した『テネシー・ワルツ』には同時発売されたCDには収録されていない<ストレート、ノー・チェイサー>が収録されていて貴重。今年(2020) 末、Nadja21(キング・インターナショナル)から<ストレート、ノー・チェイサー>を含む完全未発表テイク5曲を含む(スタジオ録音2曲、ライヴ録音3曲)「Great 3」の1994年の全録音を収録した4枚組完全版CDセットがリリースされ、その全貌が初めて明らかにされる。

稲岡邦彌

稲岡邦彌 Kenny Inaoka 兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。2004年創刊以来Jazz Tokyo編集長。音楽プロデューサーとして「Nadja 21」レーベル主宰。著書に『新版 ECMの真実』(カンパニー社)、編著に『増補改訂版 ECM catalog』(東京キララ社)『及川公生のサウンド・レシピ』(ユニコム)、共著に『ジャズCDの名盤』(文春新書)。2021年度「日本ジャズ音楽協会」会長賞受賞。

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