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InterviewsNo. 312

Interview #283 ドミニク・ミラー Dominic Miller

Interview by Minako Ukita 浮田美奈子
Photos by Christoph Bombart

ギタリスト、ドミニク・ミラー。多くの日本人が彼の名前を知らずとも、彼が作った曲や演奏を知らず知らずに聴いているはずだ。もし彼の名前を知っていたとしても、その多くはイギリスのミュージシャン、スティングの横に30年以上もいる「ロック・ギタリスト」のイメージが強いかもしれない。

しかし、ドミニクはECM所属アーチストとして既に3作をリリースしている。最新作は2023年4月リリースの『Vagabond』だが、彼の作品と作曲の質の高さは、年々世界中にファンを増やしている。
その彼が、この最新作『Vagabond』のツアーでまもなく4月中旬に5年ぶりの来日公演を行う予定だ。ツアーに入る前の多忙な中、幸運にも彼に来日直前インタビューを受けてもらう事ができた。しかしまず、彼の事を簡単に紹介しよう。

先日64歳になったドミニクは、アルゼンチンに生まれた事もあり、幼少期からアコースティック・ギターを弾き始めた。最初に弾いていたのはボサ・ノヴァなど、ブラジルスタイルの音楽だ。
同時に彼はクラシックも演奏し始める。その時から現在も彼が敬愛してやまないのはバッハだ。
エレキギターはプロになると決意した15歳ごろから弾き始め、ジミ・ヘンドリクス、ジョン・マクラフリンやグレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアに大きな影響を受けた。

しかし、ドミニク・ミラーのメイン楽器は間違いなくアコースティック・ギターだ。彼がギタリストとして世界的に大ブレイクするきっかけとなった曲、フィル・コリンズの大ヒット曲「Another Day In Paradice」(アルバム『Bad Seriously…』収録)、そして彼が作曲した映画『LEON』の主題歌である、スティングの「Shape Of My Heart」のどちらもアコースティックでの演奏だ。また、彼は自分のギターの音を良くする事に強い情熱を持っている。だから彼のこだわりはアコースティック・ギターにある。

1995年以降、彼はソロ名義のアルバムを10作、セルフ・プロデュースで作ってきた。(DECCAから出したクラシックアルバム『Shapes』を除く)そして、2015年にECMのマンフレート・アイヒャーからの誘いを受けECMに移籍。2017年にECMから1枚目のアルバム『Silent Light』、2019年に2枚目『Absinthe』、2023年4月に3枚目となる『Vagabond』をリリースした。

前置きが少し長くなった。インタビューに入ろう。

MU: ドミニク、今回の来日は昨年4月に発売された最新作『Vagabond』のツアーですね。この作品がECMからの3作目です。しかしあなたの作品は、それぞれに明確に違う強いコンセプトがあり、音楽的にも全く違う印象です。この『Vagabond』に関して、あなたが最も表現したかったコンセプトはどういうものでしょうか?

DM: このアルバムのために作曲を始めたのは2020年の初めでしたが、その後、父が亡くなりました。このことは、私の方向性に大きな影響を与え、また、父が好きだったジョン・メイスフィールドの詩集のタイトルである “Vagabond “というアルバム名を私に与えてくれました。
そしてまた、私たち全員に別の大きな出来事が起こりました。パンデミックです。つまり、私は作曲期間中はずっと家にいたのです。父を亡くした悲しみと、パンデミックによって人との繋がりを制限された孤独の組み合わせが、このアルバムのインスピレーションの源になりました。ですから、このアルバムが内省的な性格を持っていることは否定できません。でも、このアルバムには愛と希望もあります。

MU: コンセプトについてマンフレートからあなたに何かアドバイスがあるのでしょうか?

DM: マンフレートの言葉はどれも知恵に満ちています。父と同様に、私は年長者の言葉をいつも真剣に受け止めています。

MU: あなたは実はこのアルバムのために25曲以上を用意していたそうですね。しかし、実際に収録されたのは8曲です。どうしてそのようになったのでしょうか?

DM: そうですね、スケッチに近いアイデアは25個くらいあったんですが、実際に作曲作業にまで行ったのは8個だけでした。アルバムの編集作業に没頭すればするほど、どの曲がコンセプトに関連性があるのかが鮮明になってくるので、結局はコンセプトに最も適した曲に集中することになります。

MU: 8曲の中にはアルバム『Third World』(2004年)に収録されている旧作「Altea」が入っていますね?

DM: 旧曲の「Altea」に関しては、今回のアルバムのレコーディング中、私たちはこの曲のコードを中心に即興の演奏をしていました。だから当初の予定にはなかったのですが、私たち全員が、この曲は今回のアルバムの計画にとても適していると感じたので、そのまま残すことにしました。

MU: このアルバムでは、あなたは前作以上に非常にシンプルな表現を追求していると感じます。
あなたの音楽には以前から強い物語性がありましたが、このアルバムではどの曲もメロディー、ハーモニーの美しさがさらに際立ち、非常に詩的で強い物語性を持っている印象です。今回のアルバムで、曲作りの際に特に意識したことはありますか?

DM: インストゥルメンタル・ミュージックを言葉で説明するのは難しいのですが、私は今回の作曲のプロセス中、私の父がそれぞれの曲に対してどう思うだろうか、どう解釈するだろうかと常に考えていました。
(注:ドミニクの父はアマチュアながら音楽の才能と深い造詣があり、若いミュージシャンのキャリアを支援するために長年に渡り資金を提供し支援活動をしてきた。また、ドミニクが19歳の時、ブラジルのギターの巨匠セバスチャン・タパジョスに師事したいと言ったときも、彼の父はすぐにドミニクをサポートした。)

MU: 今作では聞き手に映像的なイメージを強く喚起させる曲が多いと感じました。たとえば『Clandestin』の最後は、あなたが隠れているバーの横から警官が去っていき、皆がほっとしているようなイメージがしました。

DM: それはとても面白い!(注:『Clandestin』はロックダウン中、外から見えないようにシャッターを下ろした地元のバーに彼がいた時の様子が描かれている)

MU: また、美しいハーモニクスが幻想的な最後の曲、「Lone Waltz」は聴いた後に非常に強く余韻を感じさせます。

DM:『Lone Waltz』では、パートナーなしでワルツを踊る男の悲しみや、多分ユーモアのようなものについて考えていたと思います。私は曲を作る時、頭の中ではそのようなイメージを思い浮かべます。ですが、結局のところ、曲とはハーモニーとメロディー、そしてリズムであるだけです。そして曲を聴いた時、どのような自分自身のストーリーを作り上げるのかはリスナー次第で自由ですし、私はそうする事をお勧めします。

MU: 今回のアルバムにはあなたの身近な存在だった故人を偲んだ曲が2曲あります。(注:2曲目「Cruel But Fair」は近年無くなった長年スティングのツアーマネージャーだった、通称”ビリー”に捧げたもの。7曲目「Mi Viejo」はドミニクが亡き父に捧げた曲)そのためか、私はアルバム全体を通して「時の流れ」や、あなた自身の、失われていく物や、永遠ではない、はかない物への強い愛情のようなものを感じました。

DM: それはもう、完全にあなたの言う通りですね。

MU: 特にあなたが近年亡くなったお父さんを偲んだ「Mi Viejo」は、2分ほどの非常に短いソロの曲ですが、本当にあなたの深い愛を感じます。

DM: アルバムのタイトルが決まるとそれに向かって書くのも、あるいはそのために書くのも簡単になりました。特に『Mi Viejo』に関してはまさにそのような曲です。

MU: しかし上記のような「流れ」の要素を強く感じたのは、このアルバムでは今までの作品よりも即興的な要素が強いからだと思います。その即興的な要素はピアノのヤコブ・カールソンとドラムのジヴ・ラヴィッツが担っていると思いますが、あなたは彼らをこのアルバムに起用したのは、始めからその様な役割に彼らが適していると感じたからですか?
(注:ドミニクは前作『Absinthe』の時は盟友であるドラマー、マヌ・カチェの参加が決まってから曲を書いている。)

DM: 私がレコーディングに関してこだわっている殆どの事は、ハーモニーという言語を流暢に話すことが出来るミュージシャンとレコーディングをするという事です。そして、もし私が誇りに思っていることがあるとすれば、それは長年にわたって私がやってきた参加ミュージシャンのラインナップの選択についてです。ヤコブは偉大な即興演奏家であり、彼の魔法は偉大なクラシック・ピアニストのようなタッチから生まれます。そしてジヴは偉大な画家のようです。私はこのような偉大なミュージシャンと一緒に仕事ができることはもちろん、知り合えたことだけでさえ幸運だと感じています。

MU: でもここまでギタリストが控えめに演奏をしているギタリストのリーダー作というのもかなり珍しいと思います。(注:ドミニクはこの作品について「ギターアルバムを作るつもりはなかった」と語っている)また、このアルバムの即興的な要素は、曲のいくつかのセクションの間に挿入されるいわゆる通常の「ソロ演奏」という形の「即興」とはまったく異なる役割を果たしているように感じました。

DM: 私の役割は、楽器の演奏者というよりも作曲家だと思っています。だから私は、台本や物語なしでただ即興で演奏するのではなく、それぞれの曲の中にある文脈で、その曲の物語を大切に語れるミュージシャンを選んでいます。私は彼らに物語の場面を提供し、彼らはそれを演奏をしているのです。

MU: 先日、あなたがインタビューで「ECMは臆病者、弱虫には向かないレーベルだ」と言っていたのを見ました。何だかレコーディング中は大変な突発的な出来事が沢山あったようですね?

DM: ECMのレコーディングに必要とされる重要な資質は、エゴがまったくないということです。エゴはある程度誰にでもあるものですが(私にもあります)、ECMのレコーディングでは、そのような自分のエゴはすべて家に置いてこないと、マンフレートに見破られてしまいます。だからレコーディングはかなりキツイです。
(注:具体的にどのような事がレコーディング中に起こり、キツかったのかを知りたい方はこの動画の20:00-27:00くらいまでを見るか、筆者サイトの 「Great conversation with Andy G. Jones-1」という記事を参照されたい)

MU: また同じインタビューで、レコーディングの時、マンフレートがあなたの演奏のミスを修正することを許さなかったという、とても興味深いエピソードがありました。このエピソードはレコーディング技術の発達や生成AIが音楽を生み出す時代に逆行するような内容ですが、これはマンフレートのどのような意図なのでしょうか?人間にしか生み出せない不完全さや偶然の中に存在する魅力でしょうか?

DM: 若い頃、ECMのレコードを聴いていて、私はどういうわけか、その完璧さと同じくらい不完全さに魅せられたのを覚えています。そのような不完全さやミスといったものをレコードで提供すると、リスナーをあなたの世界に引き込むことができるのです。これはECMというレーベルのアイデンティティの一部なのです。
(注:ドミニクは古いエグベルト・ジスモンチのアルバムを聞き、自分が昔のECMアーチストに魅了された理由は、彼らが不完全で、エグベルトがギターやピアノの高音部分で旋律と格闘しているアーティキュレーションの乱れや弱さがあり、そこに何か魅力的なものがあったからだと分かった、と述べている)

MU: あなたは本当に毎回全く違う印象の作品を作られますが、今後はどのような方向へ向かうのでしょうか?今は何に興味がありますか?

DM: 私が作曲するインスピレーションを与えてくれるのは、必ずしも音楽とは限りません。その音楽以外のインスピレーションとは、より多くの人生の経験です。出会った人々、読んだ本、見た展覧会、食べたものなど様々です。次のアルバムの音楽は、これらすべての影響から生まれたものになるでしょう。

MU: 今回のツアーはどんなものになるのでしょう?この『Vagabond』の曲はライブでの演奏に関して少し工夫が必要な曲があるように個人的に感じましたが・・・。

DM: 今回のツアーでは、『Vagabond』からの曲も何曲か演奏する予定ですが、他のアルバムからの曲も演奏します。何曲かカヴァーもやるかもしれません。ディナー・デートと同じように、私は自分の予定や方針を前もって準備して臨むのは好きではありません。それでは満足のいく体験ができないと思うので、だから同じようにその夜の流れに合わせて音楽を選びたいのです。ですから、どの公演でどんな事が起きるか、我々はその成り行きや様子を見なければならないでしょう。

MU: 最後に、もうすぐ『ECM55周年』と題したあなたの5年ぶりの日本公演があります。公演に向けての意気込みや日本に対してのメッセージがありましたらお願いします。

DM: いつも素晴らしい経験をさせてもらっている日本に戻れることを、これまでと同様、本当に楽しみにしています。日本の人達ははインストゥルメンタル・ミュージックをとても愛しているので、私と日本の皆さんとのつながりはまたさらに強くなるでしょう!

『Silent Light』 (ECM2518)
(2017年、録音:オスロ・レインボースタジオ/Eng:ヤン・エリック・コングスハウク)
ECMから1作目をリリースするにあたり、ドミニクは彼に多大な影響を与えた音楽の要素を見つめなおし、それを非常に純粋なソロの形で表現した。ある意味で彼の音楽的な「再出発」の作品と言える。音楽における「空間」のコンセプトを強く表現している。Dominic Miller (G),Miles Bould(Per, Dr)

『Absinthe』 (ECM2614)
(2019年、録音:南仏・スタジオ・ラ・ビュイッソンヌ/Eng:ジェラール・デ・ハロ)
彼が強い尊敬の念を抱いているフランス印象派の画家たちへのオマージュがメインテーマ。しかし、それだけではなく、色彩のコントラストや光と闇のコントラスト、そして『Absinthe』の語源である「不在」といった哲学的なテーマも内包されている深い作品だった。Dominic Miller (G),Nicolas Fiszman(Ba),Manu Katché(Dr),Mike Lindup(Key),Santiago Arias(Bandneon)

『Vagabond』(ECM2704)
(2023年、録音:南仏・スタジオ・ラ・ビュイッソンヌ/Eng:ジェラール・デ・ハロ)
前作と比べるとアルバム全体を通して静謐で内省的だ。理由は上記インタビューの通り。ドミニク自身もメロディよりも、リフを弾いている事が多い。しかし、その上をスウェーデンのピアニスト、ヤコブ・カールソンの抒情的な即興とイスラエル出身ドラマー、ジヴ・ラヴィッツの抑制の効いた深いグルーブが自在に動き回る。ドミニクならではの即興性の扱い方が秀逸だ。シンプルな作り方であるがどの曲も大変ドラマチックである。Dominic Miller (G),Nicolas Fiszman(Ba),Ziv Ravitz(Dr),Jacob Karlzon(Key)

【参考記事】 4/19-22 ドミニク・ミラー at 東京 コットンクラブ&神戸 チキンジョージ


浮田美奈子 Minako Ukita
厳格なクラシック音楽教師の家庭に育つ。自身も2歳半から大学卒業までピアノとフルートを学ぶ。得意だったのはフランス近代作曲家。同時に13歳で洋楽ロックやJAZZにも傾倒し、バンド活動を行う。感動したものであればどんな音楽ジャンルも問わずに聴くが、基本的に実際に会場で聞かなければ真価は解らないと思っている。現在ドミニク・ミラー本人の承認の元、Dominic Miller_Fan Page JAPANを運営。



Interview with Dominic Miller

by Minako Ukita 浮田美奈子

The guitarist Dominic Miller. Many Japanese people may not know his name, but probably many of them listen to his songs and performances often without knowing they are his. Even if they know his name, they may have the impression that rock guitarist who has been beside British musician Sting for more than 30 years.

However, Dominic has already released three albums as an ECM musician.His latest work is Vagabond, released in April 2023. And the quality of his work and compositions has earned him a growing worldwide following year after year.
He will be coming to Japan in mid-April for the first time in five years to tour in support of his third album, “Vagabond”. Fortunately, although he was busy before the tour, I was able to get him for an interview just before his arrival in Japan. But first, a brief introduction about him.

Dominic was born in Argentina who recently turned 64, he started playing acoustic guitar at an early age. And he first played Bossa Nova and other Brazilian-style music. At the same time he also played classical. Bach was then, and remains, his most revered figure. He started playing the electric guitar around the age of 15 when he decided to become a professional guitarist and was greatly influenced by Jimi Hendrix, John McLaughlin and Jerry Garcia of the Grateful Dead.

But, Dominic Miller’s main instrument is undoubtedly the acoustic guitar. Phil Collins’ mega-hit song “Another Day in Paradise” by Phil Collins (from the album “Bad Seriously…”), which led to Dominic’s worldwide breakthrough as a guitarist, and Sting’s “Shape Of My Heart”, the theme song from the film Leon, which Dominic composed, are both played on acoustic guitar. He also has a strong passion for making his guitar sound better. So his obsession is with acoustic guitars.

And he has made ten self-produced, fully solo albums under his own name since 1995.
( Except for the classic album “Shapes”, which came out on DECCA).
He then moved to ECM in 2015 after an invitation from ECM’s Manfred Eicher. And he released his first album, Silent Light, on ECM in 2017, his second, Absinthe, in 2019 and his third, Vagabond, in April 2023.

Now, the preamble is a bit long, let’s get on with the interview.

MU: Dear Dominic, this time you are touring your new album “Vagabond”, which was released last April. This is your third album for ECM. However, each of your albums has a different and powerful concept and the musical impression can vary considerably. And what was the concept you wanted to express most with this new album, Vagabond? Also, does Manfred have any advice on it?

DM: I started composing for the new album in early 2020 and then my father passed away. This had a profound influence on the direction I would take and also gave me the name of the album, “Vagabond”, which I knew was his favourite poem by John Masefield. Then another major event happened to all of us. The pandemic. This meant I was at home throughout the duration of the composing process. The combination of grief and solitude formed the inspiration for this album, so one can be forgiven for thinking it has an introspective nature which I can’t deny. But it also has love and hope.

MU: Does Manfred have any advice for you on the concept?

DM: Every word that Manfred utters is full of wisdom. As with my father I always take what elders say seriously.

MU: I heard that you had prepared over 25 songs for this album. But, in the end, a total of 8 songs were included. How did this happen?

DM: Yes, I had about 25 ideas which were more like sketches but only 8 compositions. The further I get into the process of compiling an album the clearer it becomes which songs are relevant, so I end up focusing my attention on the songs that best service the concept.

MU: Among those eight songs is the old song ‘Altea’ from the album Third World (2004)?

DM: While we were recording the album we were improvising around the chords to Altea so I included it on the album although it was never in the original plan. We all felt it worked in the project so we kept it.

MU: On this album you seem to be pursuing a very simple expression, even more so than in your previous work.Your songs have always had a narrative, but ‘Vagabond’ stands out even more for its beauty, melody and harmonies, and I have the impression that all the songs have a very poetic and strong narrative.Was there anything in particular on this album that you had in mind when writing the songs?

DM: It’s difficult to explain instrumental music but throughout the writing process I was always thinking, what would my father think or read into each piece.(Dominic’s father was an amateur, but a man of musical talent and with deep knowledge, who has been funding and supporting the careers of young musicians for many years. And when Dominic was 19 and wanted to study with Brazilian guitar master Sebastiao Tapajos, his father was quick to support him.)

MU: I also feel that many of the songs on the album evoke strong visual images in the listener. For example, the end of ‘Clandestin’, I had a visual image of a policeman leaving the side of the bar where you are hiding and everyone is relieved.

DM: That’s funny! (‘Clandestin’ describes a time when he was in a local bar that was shuttered down so that it could not be seen from the outside during a lockdown.)

MU: Also a fantastic final song with beautiful harmonics, ’Lone Waltz’ leaves a very strong aftertaste after listening to it. You are really good at that kind of approach.

DM: With Lone Waltz I was thinking about the sadness and maybe humour of a man dancing a waltz without a partner. I do conjure these kind of images in my mind but in the end it’s just harmony, melody and rhythm. It’s up to the listener to make up their own stories which I encourage.

MU: There are two songs on this album that commemorate those close to us who have passed away.(The second song ‘Cruel But Fair’ is dedicated to Sting’s long-time tour manager, aka ‘Billy’, who has recently passed away. The seventh song ‘Mi Viejo’ is dedicated by Dominic to his late father.) That’s why I felt from the whole album something like your deep love for the flow of time, for what is lost, for what is fleeting and not eternal.

DM: Absolutely right.

MU: In particular, “Mi Viejo”, a song in memory of your late father, is a short solo song that lasts less than two minutes, but it really conveys your deep love.

DM: Once I knew the title of the album it became easier to write towards it or for it. Mi Viejo is exactly that.

MU: I think the reason why I felt such a strong ‘flow’ element is because this album has a stronger improvisational element than previous albums. And I think the improvisational elements on this album are carried by Jacob Karlzon on piano and Ziv Ravitz on drums, – did you use them on this album because you felt they were suited for such a role from the start?

DM: I almost insist on recording with musicians who speak fluently in the language of harmony and if I’m proud of anything it’s my choices in line-ups I’ve had over the years. Jacob is a great improviser and his magic also comes from his touch, like a great classical pianist. And Ziv is like a great painter. I feel so fortunate to even know these great musicians let alone work with them.

MU: But I think it’s quite rare to find a leader album by a guitarist where the guitarist plays so modestly. (Dominic has said of this work that he never intended to make a guitar album.) Also, I feel the improvisational elements on this album seemed to play a very different role than the so-called “solo performance” type of “improvisations” inserted between specific sections of songs?

DM: I see my role more as a composer rather than an instrumentalist. That is why I choose musicians who can tell a story within the context of each piece as opposed to just improvising without a script or narrative. I offer them the scene and they do the performance.

MU: The other day I saw you say in an interview that ‘ECM is not a label for sissies’. A lot of unexpected things seemed to happen during the recording process?

DM: The main quality needed to record on ECM is a total lack of ego. We all have a certain amount of ego (I know I do) but on these records you need to leave that all at home or Manfred will spot it. It’s quite intense. (If you want to know specifically what happened during the recording and why he was so intense, watch around 20:00-27:00 of this video or refer to the article ‘Great Conversation with Andy G. Jones-1’ on the author’s website).

MU: In the same interview, there was also a very interesting episode in which Manfred did not allow you to correct any performance mistakes during the recording session. This episode seems to run counter to the development of recording technology and the era of generative AI creating music, but what is Manfred’s intention in doing so? A fascination that exists in imperfections and coincidences that only humans can create?

DM: I remember when I was young listening to ECM records and how I felt somehow seduced by the imperfections as much as the perfections. When you offer these kind of events on a record it kind of includes the listener into your world. This is part of the identity of the label. (Previously Dominic said : “I was listening to old Egbert Gismonti albums and why he was attracted to the old ECM artist, and I understood why I was so seduced by them. It’s because they were imperfect and kind of there was something charming about that vulnerability that comes out in the articulation of Egberto are struggling with a high melody on a guitar or a piano”.)

MU: You truly create works that give a completely different impression each time. What direction will you take in the future? What are you currently interested in?

DM: What inspires me to write music isn’t necessarily music. It’s more life experiences. The people I meet, books I read, exhibitions I see, food I eat etc. The music on the next album will come from all these influences.

MU: What will this tour be like? I personally feel that some of the songs on this ‘Vagabond’ album need a bit of ingenuity to be played in concert.

DM: This tour will include a few songs from Vagabond but we will also play songs from other albums. Maybe some covers too. As with a dinner date I never like to come with my lines prepared, which I think makes for an unsatisfactory experience, so I like to select the music in accordance with the flow of the evening. So we’ll have to wait and see what will happen on any given performance.

MU: Lastly, your first performance in Japan in 5 years, titled “ECM 55th Anniversary”, is coming soon. Please tell us your enthusiasm for the performance and your message to Japan.

DM: As always I’m excited to return to Japan where I’ve always had wonderful experiences. Japanese people love instrumental music which makes my connection to the Japanese people even stronger!

【Albums】
“Silent Light”(2017): ECM 2518
(Recorded at Oslo Rainbow Studios/Eng: Jan-Erik Kongshaug).
Upon releasing the first work from ECM, Dominic has reaffirmed the elements of his music that have influenced him so much and expressed them in a very pure solo form. In a sense, it is his musical ‘fresh start’.The concept of “space” in music is strongly expressed. Dominic Miller (G),Miles Bould(Per, Dr)

“Absinthe” (2019): ECM 2614
(Recorded at Studio La Buissonne, Southern France / Eng: Gérard de Haro).
The main theme of this album was a tribute to the French Impressionist painters, whom he greatly admired. But it was the very profound work, involving contrasts of colour, light and darkness, and philosophical themes such as ‘absence’, which is the origin of the word ‘Absinthe’. Dominic Miller (G),Nicolas Fiszman(Ba),Manu Katché (Dr),Mike Lindup(Key),Santiago Arias(Bandneon)

“Vagabond”(2023): ECM 2704
(Recorded at Studio La Buissonne, Southern France / Eng: Gérard de Haro).
Compared to the previous album, the whole album is more tranquil and introspective. The reasons for this are as per the interview above.Dominic often plays more riffs than melodies. But over the riffs, the lyrical improvisations of Swedish pianist Jacob Karlzon and the restrained, deep grooves of Israeli drummer Ziv Ravitz move freely. Dominic’s unique way of handling improvisation is excellent.
Although the songs are simple, each song is very dramatic. Dominic Miller (G),Nicolas Fiszman(Ba),Ziv Ravitz(Dr),Jacob Karlzon(Key)


Minako Ukita:
Raised in a family of strict classical music teachers, so I studied piano and flute from the age of two and a half until graduated from university. Specialised in works by contemporary French composers. At the same time, at the age of 13, I also became interested in Western rock and Jazz music and played in bands. I will listen to any genre of music as long as I am moved by it, but basically I believe that the true value cannot be understood unless I actually hear it at the venue. I currently runs Dominic Miller_Fan Page JAPAN with the approval of Dominic Miller himself.

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