JazzTokyo

Jazz and Far Beyond

閲覧回数 27,052 回

このパフォーマンス2019(国内編)No. 261

#07 渋さ知らズオーケストラ「真夏の夜の夢」

2019年8月1日(木)新宿ピットイン

text by Keita Konda 根田恵多

渋さ知らズオーケストラ
峰 厚介(Ts)、林 栄一(As)、森山威男(Ds)、立花秀輝(As)、川口義之(As)、鬼頭 哲(Bs)、北陽一郎(Tp)、渋谷 毅(Or,P)、山口コーイチ(P,Or)、石渡明廣(G)、磯部 潤(Ds)、不破大輔(B)、ペロ、さやか、すがこ(ダンサー)、ゲスト:池間由布子(Vo, Gt)

「真夏の夜の夢」と題された、渋さ知らズの公演。渋谷毅、森山威男らレジェンドの参加に惹かれて足を運んだが、強烈に印象に残ったのはゲストの池間由布子だった。

1stセットは、山口コーイチの激烈にかっこいいピアノから始まって1時間弱の「行方知れズ」。普段のピットインでの渋さ知らズと比べるとだいぶ少ないメンバーながら、森山磯部ツインドラムが初っ端から飛ばしまくっていた。大音量に耳が痛くなるくらいの直球パワー系フリージャズ。立花秀輝のソロに続いて、峰厚介が座ったままゆったりとソロへ。さらに林栄一、渋谷毅、石渡明廣とソロを回していく。「渋谷毅オーケストラのメンツが渋さ知らズでソロを回している」という何だかよく分からない状況に、「これは夢か何かなのか?」などと思っているうちに、森山磯部ドラムバトル、林立花循環呼吸デュオ、故・片山広明の十八番「Lady’s Blues」などが目まぐるしく展開し、気づいたら1st終了。リーダー不破大輔から「池間由布子さんが登場する予定でしたが、暑すぎるのでちょっと休憩します」とアナウンスがあり、20分ほど休憩へ。

2ndは池間由布子中心の小編成でスタート。森山ら70代のジャズレジェンドたちに囲まれながら、池間は完全に場を支配していた。1曲目は「血を混ぜましょう」と不穏に歌う「外人ハウス」。続いて、石渡が加わって「バンジージャンプ」。池間が「〇〇さんのバンジージャンプ」とメンバーの名前を入れて歌いながらソロを回していくという趣向だったが、最初の「渋谷さんのバンジージャンプ」から渋谷が全然弾かずに終わるという驚きの展開に。その後、テニスコーツの「光輪」、「せんべい」を演奏したところで他のメンバーが登場。全員で「知られない季節」や「ラジオのように」などを演奏し、池間退場。ラストは「ナーダム」からの「本多工務店のテーマ」で〆。

まさに夢のような時間だったし、何しろ池間由布子に度肝を抜かれた。この記事を執筆している時点ではまだ入手できていないが、2019年12月からライブ会場等で新譜の販売を開始しているようだ。今後も池間の動向に注目していきたい。

 
 

 

 
 

根田 恵多

根田恵多 Keita Konda 1989年生まれ。福井県の大学で教員を務める。専門はアメリカ憲法、とくに政教分離、精神的自由権。主な著作に『判例キーポイント憲法』(共著、成文堂、2020年)『教職課程のための憲法入門〔第2版〕』(共著、弘文堂、2019年)など。ただのジャズファン。ブログ http://zu-ja.hatenablog.com/

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください