#02『Miles Davis/Rubberband』
text by Hiro Honshuku ヒロ・ホンシュク
Rhino/Warner
- Miles Davis – trumpet, keyboards, synthesizers, bandleader
- Randy Hall – on “I Love What We Make Together”, production on 1985 sessions
- Lalah Hathaway – vocals on “So Emotional”
- Adam Holzman – keyboards on “This Is It”, “Give It Up”, “Carnival Time”, “See I See”, “Echoes In Time / The Wrinkle”, “Rubberband”
- Ledisi – vocals on “Rubberband of Life”
- Michael Paulo – tenor, alto, flute
- Mike Stern – lead guitar on “Rubberband
- and many more
- “Rubberband of Life” – 5:43
- “This Is It” – 4:36
- “Paradise” – 6:10
- “So Emotional” – 5:18
- “Give It Up” – 6:28
- “Maze” – 4:11
- “Carnival Time” – 4:24
- “I Love What We Make Together” – 5:05
- “See I See” – 4:19
- “Echoes in Time”/”The Wrinkle” – 9:25
- “Rubberband” – 6:10
Released: September 6, 2019
Recorded: 1985
Studio: Ameraycan Studios, Utopia Studios (new recordings), The Village (Ledisi Lalah Hathaway, Isaiah Sharkey, and Vince Wilburn, Jr.), Dot’s Way Recorders (Munyungo Jackson and Vince Wilburn, Jr.)
Length: 63:11
Producer: Zane Giles, Randy Hall, Vince Wilburn, Jr.
今年はマイルスのお蔵入りプロダクション、『Rubberband』が2回に分けてリリースされた。まず4月にEPとしてタイトル曲の<Rubberband>が5つの違ったバージョンで出た。このアイデアがまず斬新だと感じた。同じ曲だと言うのに5トラック思いっきり楽しませて頂いた。期待が昂まったところで9月にアルバム全体がリリース。EP、フルアルバム、両方とも筆者の楽曲解説で取り上げたので是非お読み頂きたい。
- No. 249 ヒロ・ホンシュクの楽曲解説 #38 Miles Davis <Rubberband>
- No. 258 ヒロ・ホンシュクの楽曲解説 #47 Miles Davis <See I See>
実は筆者としては、これらのアルバムがコルトレーンの発掘盤、『Blue World』ほど騒がれなかったことに多少なりとも驚きを抱いた。マイルスのこのアルバムはただの発掘盤ではなく、マイルスの意志を継いだ新しいプロダクションだ。あの世のマイルスはきっと、グラスパーの『Everything’s Beautiful』(楽曲解説#9)の出来栄えからほどの満足は得なかったかも知れないが、少なくともこの『Rubberband』の出来栄えに不満は持っていないだろう、と勝手に想像する。なにせ『Tutu』のプロジェクトに寝返るまでは本人かなり熱を入れて進めていたプロジェクトであったし、この未発表アルバムのみに収録されていた曲を多くライブで演奏し続けたからだ。なぜメディアがそのあたりをもっと騒ぎ立てなかったのか、未だに煙に巻かれたような気分なのである。
最後にこのミニドキュメンタリーを是非ご覧いただきたい。