#01 Milton “Bituca” Nascimento『One Final Music Session Farewell Tour』
2022年10月9日(日)20時
Berklee Performance Center, Boston, MA, USA
- Milton Nascimento(ヴォーカル)
- Zé Ibarra(ヴォーカル、ギター、フルート)
- Wilson Lopes(ギター、音楽監督)
- Frederico Heliodoro(ベース、コーラス)
- Lincoln Cheib(ドラム)
- Ademir Fox(ピアノ、キーボード)
- Widor Santiago(サックス、フルート)
- Ronaldo Silva(パーカッション)
- ゲスト:Esperanza Spalding(エスペランサ・スポルディング:ヴォーカル、アップライト・ベース)
協力(含む動画内曲タイトル):Evelyn Rosenthal、Jim Carroll
ライブ・レポートを書く予定ではなかったのでセット・リストはないことをお許しいただきたい。
80歳を迎えたブラジルの巨匠、Milton “Bituca” Nascimento(ミルトン・ビチューカ・ナシメント)がライブ活動最後のツアーを行った。ちなみに、自分で付けたあだ名ビチューカとは、「尻」とか「吸い殻」などを意味する英語のButtだそうだ。
ビチューカと言えば、Herbie Hancock(ハービー・ハンコック)、Wayne Shorter(ウェイン・ショーター)、Pat Metheny(パット・メセニー)などのジャズミュージシャンだけでなく、James Taylor(ジェームス・テイラー)、Cat Stevens(キャット・スティーヴンス)、Björk(ビョーク)、Duran Duran(デュラン・デュラン)、Paul Simon(ポール・サイモン)等の幅広いジャンルのアーティストとコラボレーションし、ワールド・ミュージックの新しい定義を築いたアーティストだ。
筆者がビチューカのライブを見るのはこれが2度目になる。最初は確か90年初期だった。ビチューカの音楽は、まずあの唯一無二である声と歌い方だ。そして彼の書く曲はコード進行から何から何まで実にユニークだ。その彼のライブがもう見られなくなる。満員の会場には、涙を拭うファンの姿があちらこちらに見られた。
筆者がiPhoneで撮影した映像をご紹介する。このツアー、ファッション・デザイナーのRonaldo Fraga(ホナルド・フラガ)による衣装が話題で、写真をあちらこちらで見ていたので楽しみにしていたのだが残念ながらボストンでは着なかったようだ。動画には収めなかったが、もうひとつ特筆すべきはZé Ibarra(ゼ・イバラ)のオープニング・アクトだった。彼は女装して弾き語りを披露したのだが、これがなかなか素晴らしかった。ビチューカのステージでも筆者が大好きな<Vera Cruz>を、ビチューカ本人は全く歌わずに丸ごとイバラに歌わせていた。ビチューカの右手でギター片手に歌ったりフルートを吹いているのがイバラだ。パーカッショニスタのRonaldo Silva(ホナルド・シルヴァ)も是非お楽しみ頂きたい。彼はあのドラマー、Robertinho Silva(ホベルチーニョ・シルヴァ)の息子だ。