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音質マイスター萩原光男のサウンドチェックNo. 316

#001 『カーティス・フラー・クインテット/ブルース=エット』

text by Mitsuo Hagiwara 萩原光男

カーティス・フラー (tb)
ベニー・ゴルソン (ts)
トミー・フラナガン (p)
ジミー・ギャリソン (db)
アル・ヘアウッド  (ds)

1 .ファイブ・スポット・アフター・ダーク
2 .アンディサイデッド
3 .ブルースエット
4 .マイナー・バンプ
5 .ラヴ・ユア・スペル・イズ・エヴリホエア
6 .12インチ

録音:1959年5月21日@ルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオ、NJ
エンジニア:ルディ・ヴァン・ゲルダー
プロデューサー:オジー・カデナ
リリース:1959年 Savoy Records


ハード・バップ/ファンキー時代の屈指のヒット作を紹介しましょう。デトロイトで活動していたカーティス・フラーが1957年にニューヨークに出て1958年に作った出世作です。

イーストコースト派らしく、確かなテクニックに支えられながらも自然で品位ある音ですが、再生するオーディオのグレードをあげていくと、音の厚みとリスナーを包み込む豊かさが増します。カーティス・フラーのトロンボーンとベニー・ゴルソンのサックスは低域から太さを増します。ジミー・ギャリソンのウッドベースはもう一つの聴きどころです。オフセンターに定位するベースがキレよく粒立って聴こえればベース・ランの躍動感が楽しめます。そこから感じられるスタジオのスペースや楽器のポジションは、このアルバムの録音の特徴です。

この時代には、マイクの本数も多く出来ず、それがかえってシンプルで自然さ・情報の豊かさ・音の太さにつながっているのです。
とは言っても、このソースはCDで聴くことをお勧めします。
LPレコードの音のクオリティは認めつつも、レコードは低音の解像力に限界があります。
かつては「マスターテープ並み」という音表現がありましたが、CDでの再生システムのクオリティを上げることで、マスターテープ・レベルの音が味わえる一枚です。

なお、筆者はこのソースを1970年代に耳にして以来、その後、在籍する会社の音を管理するようになってからは、長くリファレンス・ソースとして使用していました。

最後に、この録音は幾多の名録音を残した歴史的エンジニア、ルディ・ヴァン・ゲルダーであることも記憶しておいていただきたいと思います。

最後に試聴装置についてですが、常用は接骨院設置の、CD・アンプがケンウッド60周年記念TRIOブランドモデルTKR-60、スピーカーはJBL・D130をフルレンジで平面バッフル。
カーティス・フラーの「ブルースエット」を、評価コメントとしてきちんと聴くには、JBL4320で聴く必要があります。CDトランスポートはDP-K1000、DACは少し古いバーブラウンですが、最近見直されているnos (ノット・オーバーサンプリング) で自作です。プリアンプは、ペルケタイプ作動アンプの真空管アンプパワーアンプは拙著でも紹介しているマッキントッシュMC-150。
おまけですが、昨今はラジカセタイプでの音確認も重要です。自宅での常用音確認は、今はこの、ケンウッド・ホームオーディオの何年もベストセラーを続けたMDラジカセMDX-l1です。
スマホでの確認は、iPhoneです。

萩原光男

萩原 光男 1971年、国立長野工業高等専門学校を経て、トリオ株式会社(現・JVCケンウッド株式会社)入社。アンプ開発から、スピーカ、カーオーディオ、ホームオーディオと、一貫してオーディオの音作りを担い、後に「音質マイスター」としてホームオーディオの音質を立て直す。2010年、定年退職。2018年、柔道整復師の資格を得て整骨院開設、JBL D130をメインにフルレンジシステムをBGMに施術を行う。著書に『ビンテージ JBLのすべて』。

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