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Jazz and Far Beyond

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R.I.P. 及川公生No. 325

Jazz世界の杖つきの魔法使い様へ by 青木ひかる

今、レコーディング終わりの誰もいなくなったスタジオで独りこの文章を書いてます。まさか私が及川さんの寄稿雑誌にこんな形で寄稿するとは思いませんでした。

私が学生の頃、何を教わったかは覚えてないですが、及川さんの代名詞であるキース・ジャレット氏の日本来日ライブ録音を聞いたり、加古隆氏のライブ音源の視聴をした時のことは覚えています。ライブレコーディングにおいて、マイキングは生花のようにとか、マイクを設置する上で、楽器が鳴っている箱の最初の聴感を大事にしなさい。なんて言っていた記憶があります。

当時、レコーディングエンジニアになりたくて仕方なかった業界の右も左もわからない小娘を、神戸に呼びビッグバンドの収録とMixをさせてくれましたね。椅子に座り、手元の杖でビートを刻みながらニコニコしていたのを思い出します。その笑顔が最後でした。それは11年前の3月、丁度桜が綻び始めた頃。まさか同じ時期にお別れになるとは。

今、お陰様で同じ畑で踠きながらも歩めてます。

及川さんの事を知るエンジニア、ミュージシャン方々、異口同音に人柄の良さと音の捉え方について定評がありました。

私もそんなエンジニアを目指し、そして貴方が私の良いところだとおっしゃっていた、好奇心と探究心、馬力のある精神力を絶やさず歩んでいきますので、天国で私含め生徒達の活躍を暖かく見守っていただけると幸いです。
音響技術、芸術専門学校の卒業生代表として感謝申し上げます。

今までありがとうございました。


青木ひかる Hikaru Aoki レコーディング・ミキシングエンジニア/DJ
King Gnu、柴咲コウ、堂珍嘉邦、紫今 等の作品を手がける。
ディスクユニオンお茶の水駅前店で販売員として働いた後、FM東京、JFNのミキサーを務め、フリーダムスタジオインフィニティにてレコーディング、ミキシングエンジニアのキャリアをスタートさせる。ソニーミュージックスタジオに入社後、マスタリング及びアナログカッティング技術を習得し2024年にてフリーランスエンジニアとして活動中。本業の傍らアナログレコードDJ,レコーディングコンサルタント等を行う。
Instagramアカウント→ @hikaroomusica416

【参考記事】特集「ECM 私の1枚」
青木ひかる『Egberto Gismonti / Dança das Cabeças』

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