#1495 『ASUNA x Fumihito Taguchi/100×100』
text:Yoshiaki onnyk Kinno 金野onnyk吉晃
円盤-xx00239 ¥1000(税別)
Asuna:100 keyboards
Fumihito Taguchi:100 portable record players with 100 sea wave records
録音:宇波拓 2016年8月14日@生活工房(東京・三軒茶屋「キャロットタワー」)
高円寺のユニークなレコードショップ「円盤」の店主、田口史人さんが制作したアルバムで、百台のポータブル・レコード・プレイヤーと、百台のポータブル・キーボードを1台ずつ、順次音を出して重ねて行き、全てが鳴ってから1台ずつ減らしてくという演奏、というかライヴ・インスタレーション、1時間18分のドキュメントを記録しています。
田口さんは日本のポータブル・プレイヤーを蒐集しており、その歴史についても研究書をあらわしています。実はこのライヴ、2016年8月、三軒茶屋キャロットタワーで開催された「日本のポータブル・レコード・プレイヤー展」の関連企画として行われたのです。かけているのは全て同じ「波の音」のレコードです。これも数年かけて集めたということです。
次第に濃密になって行き、また消えて行く。これは方法論的には簡単ですが、実現は極めて難しい。ジェルジ・リゲティのやった百台のメトロノームの為の音楽「ポエム・サンフォニック」に似ていますがそれ以上のインパクトです。音源が単純に倍ありますし(笑)。また皿回し的イベントとしては、鈴木昭男さんがポータブル・プレイヤーで昔やっておりましたが、規模が数倍。いろいろな意味でこのCDはちょっと過激です。
ジャケットはなく、鳴らしている会場の風景写真と配置図が表裏になっています。まあ即物的と言えば言えますが、ここまでのアナログ・サウンドを今、どれだけの人がやれるでしょうか。田口さんが唯一無二でしょう。
一緒に演奏しているASUNAさんは金沢出身の、今をときめくマルチ・インストルメンタリストで、<ドローンにアンビエントにエクスペリメンタルにサイケにサウンド・コラージュにノイズにヒップ・ホップにロックにポップ>なサウンドを作ることで世界的にオファーがあるという事なんですが、私はここに紹介する作品しか知りません。情報不足で申し訳ないです。
このCDをご要望の方は下記サイトにアクセスしてください。高円寺の「円盤」のサイトです。