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ColumnLive Evil 稲岡邦弥No. 228

Live Evil #26 「横田明紀男レコ発インストア・ミニライヴ」

2017年3月25日(土)16:00~ 渋谷タワーレコード6F

ヴェテラン・ジャズ・ギタリスト横田明紀男のレコ発インストア・ミニライヴがあるというので渋谷タワレコに立ち寄ってみた。

横田はジャズ・バンドやスタジオでのキャリアを経て、女性ヴォーカルのShihoとデュオ「Fried Pride」(フライド・プライド)を結成、10年にわたってメジャー・レーベルとメジャー・プロダクションに所属、全国展開してきた実力者だ。詰め掛けた数十人のファンを前に横田は男らしくきっぱりと宣言した。「56歳を転機に、誰とも組むことなく、どこにも所属することなく、夢だったソロ活動を死ぬまで内外で続けていきます」。昨年末「Fried Pride」を解散後、早速自主制作した2枚のソロCDがタワーレコードの目に止まり、思いがけず全国ディストリビューションへ。そして、今日のインストア・ミニライヴが実現、幸先の良いスタートを切ったようだ。しかし、当初の予定通り、自分のサイトを通じたネット通販は続けるとのこと。

<アイ・ガット・リズム>から始まったミニ・ライヴはオリジナルの<ジャンプ・アウト>を挟んで<テイク・ファイヴ>、<クロース・トゥ・ユー>からビッグバンドの珍しいギター・ソロ・ヴァージョンで<シング、シング、シング>のさわりを聴かせ、<スペイン>まで30分、ファンのため息を誘う超絶技巧を駆使した演奏を披露。「YouTubeに上がったすべてのヴァージョンを聴いてみたけど、<リベルタンゴ>は俺が一番うまいと思った>と冗談交じりに豪語できるのも横田が当初からピックではなくクラシックの5本指奏法を採用したことに大きな要因があるのだろう。ハーモニクスやラズゲアードなどジャンルを横断したテクニックを随所に織り込んだデコラティヴな奏法ながら全体としては設計のしっかりした構成美に富んだ横田の演奏からはどこかガウディの建築に通じるものを感じた。

サラリーマンを例にとれば定年を前に早期退職し、自己資金で会社を設立、第2の人生をスタートさせたというところだろう。4月には関西3都市で自らホール・コンサートを主催するという。荒海に漕ぎ出した好漢・横田明紀男を陰ながら応援していきたい。(稲岡邦彌)

稲岡邦彌

稲岡邦彌 Kenny Inaoka 兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。2004年創刊以来Jazz Tokyo編集長。音楽プロデューサーとして「Nadja 21」レーベル主宰。著書に『新版 ECMの真実』(カンパニー社)、編著に『増補改訂版 ECM catalog』(東京キララ社)『及川公生のサウンド・レシピ』(ユニコム)、共著に『ジャズCDの名盤』(文春新書)。2021年度「日本ジャズ音楽協会」会長賞受賞。

Live Evil #26 「横田明紀男レコ発インストア・ミニライヴ」」への1件のフィードバック

  • 横田明紀男が出演するラジオ番組の放送日が決定した。

    ラジオNIKKEI「テイスト・オブ・ジャズ」
    放送日:
    6月3日㈯ 18:00~
    再放送:
    6月3日㈯  22:00~
    6月4日㈰  23:30~
    6月11日㈰ 23:00~
    6月18日㈰ 22:30~
    http://www.radionikkei.jp/music/jazz-program/
    ラジオNIKKEIは Radikoをダウンロードすることにより、スマホやPCで聴くことができる。
    http://radiko.jp/
    (稲岡)

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