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特集『ECM: 私の1枚』

壷阪健登『Gary Peacock Trio / Tangents』
『ゲイリー・ピーコック・トリオ/タンジェンツ』

バークリー音楽大学在学中に、ボストンの老舗クラブ「Regattabar」でこのトリオを聴くことができた。あんな美しいフィーリングはこれまで聴いたことがなかった。

スタンダードもインプロも全てが溶け切った世界。いったい何が起きているのかも分からず、終始夢心地だった。この『Tangents』、そして前作の『Now This』(ECM2428)にはあの時の感動が詰まっている。

トリオのピアニスト、Marc Coplandのハーモニーは、そのひとつひとつが新鮮で、それなのに身体に自然と染みこんでくる。その謎を少しでも知りたくてコンサートの後、本人に連絡をとったところ、ニューヨーク近郊のご自宅まで伺うことができた。彼のピアノのように穏やかな方で、特にハーモニーに関して、彼が数十年かけて取り組んできた沢山の事をシェアしていただいた。その時のメモは自分にとっても長い付き合いになるもの、今も大事に持っている。


©Cateria di Perri / ECM Records


ECM 2533

Gary Peacock (Double Bass)
Marc Copland (Piano)
Joey Baron (Drums)

Recorded May 2016, Auditorio Stelio Molo RSI, Lugano
Produced by Manfred Eicher


壷阪健登 つぼさかけんと
ピアニスト、作曲家。神奈川県横浜市出身。ジャズピアノを板橋文夫氏、大西順子氏、作曲をVadim Neselovski氏、Terence Blanchard氏に師事。慶應義塾大学を卒業後に渡米。2017年、オーディションを経て、Danilo Perezが音楽監督を務める音楽家育成コースのBerklee Global Jazz Instituteに選抜される。2019年にバークリー音楽院を主席卒業する。これまでにPaquito D’Rivera, Miguel Zenon, John Patitucci, Catherine Russellらと共演。2022年より石川紅奈とのユニット、「soraya」としても活動する。

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