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特集『ECM: 私の1枚』

沢田穣治『Gary Peacock / Tales of Another』
『ゲイリー・ピーコック/テイルズ・オブ・アナザー』

ジャズを演奏し始めた学生の頃、少年期に万博で出会った武満徹の世界、バシェ音響彫刻の音に魅せられていたこともあったのか4ビートを主体にするビバップがどうしても自分の気持ちと同期しませんでした。でもピアノトリオには魅力を感じ色々聴きあさる日々で特にスコット・ラファロを擁した頃のビル・エバンス・トリオの音楽性にすごく共感しておりました。

そんな時期にドイツで設立されたのがECMでした。
自分にとってその音楽性と音質が鮮烈で自身の音楽表現の救世主になったことは間違いはありません。
そしてこのアルバムとの出会い!
一気に自身の音楽の方向を明確にしてくれた貴重な一枚になる『Tales of Another』でした。
今おもうのにはゲイリー・ピーコックさんが当時京都に住み学んだ東洋の思想が反映されたのがこのアルバムのサウンドに繋がったと確信しています

そして新しく生まれたゲイリーさんが紡いだサウンドの謎を解き明かすことが日課になり音楽への探究心を失うことなく50年近く音楽を続けてこれた原動力にもなりました。
改めてゲイリーさんのアルバム『Tales of Another』に出会った同志社大学生時代が懐かしく大切な時間を過ごせたことに感謝ですね。

ショーロクラブの活動を始めたのはブラジル音楽にもそのECMの息吹を感じたからこそで、その後35年も続く活動になったのもその初心があってこそだと思っております。

そしてECMへの憧れとオマージュの気持ちを込めて設立したSong X Jazz。
その後京都へ移住しこっそり立ち上げたUnknown Silenceは、ECMのプロデューサーであるアイヒャーさんへのリスペクトとオマージュであり、これからも自身が聴きたい感じたい音楽を生み出し続けていければと思っています。


ECM 1101

Gary Peacock (Bass)
Keith Jarrett (Piano)
Jack DeJohnette (Drums)

Recorded February 1977, Generation Sound Studios, New York


沢田穣治 さわだじょうじ
音楽家。ショーロクラブの活動を中心に映画、アニメ、舞台、エクスペリメンタル作品、アルバムプロデュースなどその活動領域は音楽が存在する場所すべてといってもよいほどに多岐に及ぶ近年は京都市立藝術大学で修復されたバシェ音響彫刻の研究にも関わり演奏家/作曲家としてロームシアターで公演。2018年には映像作家Vincent Moonとのコラボレーションも果たす。
2020年、京都を拠点に自身の新レーベルUnknown Silenceを始動。「私たちがまだ耳にしたことのない音を日本から世界へ国境を越えて発信する」ことを目的に、音楽家でありオーナーである沢田が理想とするレーベル・イメージを明確化したラインナップを展開中。
沢田穣治ライブスケジュール
Unknown Silence公式ウェブサイト

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