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このディスク2017(国内編)No. 237

#04 『V.A. / 実験音楽演奏会 2』

text by Narushi Hosoda 細田成嗣

Slubmusic, l-e, Kenjitzu Records – SMCD0024,l-e02,KJT02

  1. repeatable – Mamoru Nakajyo
  2. Triangle Quartet – Masayuki Takano
  3. A Section Which Appears When a Line is Cut Off Becomes a Point – Toshihisa Hirano
  4. oikoi – Masayuki Takano
  5. Tokyo Oct. 2016 – Hisayo Kobayashi
  6. grasses – Hirohiko Yamada
  7. harmonies – Hirohiko Yamada

A sound after you listen to this CD: Takuya Sakamoto

Produced by Taku Sugimoto
Recorded by Taku Sugimoto at l-e, Tokyo, December 4, 2016
Mastered by Toshihisa Hirano and Hirohiko Yamada
English translation : Atsushi Yonemoto
Cover art : Masayuki Takano
Cover design : Koichiro Someone a.k.a 13333(MIRACLE3 DESIGN)
leaflet design : Kazuyuki Fukushima and Hisayo Kobayashi


大崎/戸越銀座のイベント・スペース「l-e」で行われていた杉本拓による「実験音楽スクール」の参加者たちからなる「実験音楽演奏会」の二枚目となるアルバム。前作同様聴き手を思わず唸らせる独創的な作曲作品が収録されているものの、本盤の特徴はそれをリアライズするゲストとして山田光、山形育弘、池田若菜、池田陽子、杉本拓、秋山徹次ら気鋭の即興演奏家が参加していることである。つまりこのアルバムからは楽曲の発想力だけでなくどこか同時代的なサウンドも聴き取ることができる。個人的には小林寿代による「Tokyo Oct. 2016」が非常に面白かった。CDのライナーノーツには各楽曲の譜面も記載されており、小林による作品は一見するとシート・ミュージックとしてその面白さが完結してしまっているように思えるものの、実際にリアライズされた演奏を聴いてみるとまた別のサウンドの力(というより実際には脱力感満載なのだが)に立ち会うこととなる(ちなみにこうした面白さは前作『実験音楽演奏会』に収録された小林の作品からも聴ける)。だがまずはライナーノーツに目を通さずに耳だけで愉しんでみることをお勧めする。

細田成嗣

細田成嗣 Narushi Hosoda 1989年生まれ。ライター/音楽批評。2013年より執筆活動を開始。編著に『AA 五十年後のアルバート・アイラー』(カンパニー社、2021年)、主な論考に「即興音楽の新しい波──触れてみるための、あるいは考えはじめるためのディスク・ガイド」、「来たるべき「非在の音」に向けて──特殊音楽考、アジアン・ミーティング・フェスティバルでの体験から」など。2018年より「ポスト・インプロヴィゼーションの地平を探る」と題したイベント・シリーズを企画/開催。

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