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このディスク2021(海外編)My Pick 2021No. 285

#03 『リューダス・モツクーナス/Live at Bitches Brew』

text & photo: Kenny Inaoka 稲岡邦彌

Nadja 21/King International (NoBusiness Records)
KKJ-162 ¥2,860 (税込)  日本語ライナー付き国内仕様盤

1.Brown Line / with Akira Sakata 11:04
2.Yellow Line / with Masayo Koketsu 12:29
3.Red Line / with Kazutoki Umezu 17:22
4.Green Line / with Otomo Yoshihide and Kazutoki Umezu 23:49
5.Blue Line / with Akira Sakata and Eiichi Hayashi 10:27

メンバー:
Track 1 : 坂田明 Akira Sakata (cl), Liudas Mockūn (as ss)
Track 2 : 纐纈雅代 Masayo Koketsu (as), Liudas Mockūnas (ss, water prepared ss)
Track 3 : 梅津和時 Kazutoki Umezu (bcl, cl, ss, as), Liudas Mockūnas (ss)
Track 4 : 大友良英 Yoshihide Otomo (g), 梅津和時 Kazutoki Umezu (bcl, ss, as), Liudas Mockūnas (ts)
Track 5 : 坂田明 Akira Sakata (cl, as, vc), 林栄一 Eiichi Hayashi (as), Liudas Mockūnas (ts, ss)
Recorded at Bitches Brew in Yokohama, December 2018 by Liudas Mockūnas
*詳細は;https://www.kinginternational.co.jp/genre/kkj-162/


“東欧最強のサックス奏者”の異名をとるリトアニアのリューダス・モツクーナス、3度目の来日の素晴らしい所産。本来は本人が記録用に録音した音源だが、本人がミュージシャンの視点でベスト・パートを抉り出し、シークエンスを決めたことで、単なるドキュメント以上の「作品」となった。日本側出演者の坂田明、纐纈雅代、梅津和時、大友良英、林栄一(収録順)の何れもがリューダスと丁々発止の対応を見せ、日本のインプロヴァイザーのレヴェルの高さを刻み込んだ。横浜・白楽のBitches Brew、小さなヴェニューだが時に極めてクリエイティヴで刺激的な創造の場となる。これはその瞬間を捉えた好例だろう。リトアニアのインディ NoBusiness RecordsからリリースされたCDを輸入、日本語の解説と帯を付けて日本のファンが入手しやすくした、いわゆる国内仕様盤。ライヴ録音は、その場に居合わせたひと握りのオーディエンスの幸せを万人に享受してもらう仕業。

稲岡邦彌

稲岡邦彌 Kenny Inaoka 兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。2004年創刊以来Jazz Tokyo編集長。音楽プロデューサーとして「Nadja 21」レーベル主宰。著書に『新版 ECMの真実』(カンパニー社)、編著に『増補改訂版 ECM catalog』(東京キララ社)『及川公生のサウンド・レシピ』(ユニコム)、共著に『ジャズCDの名盤』(文春新書)。2021年度「日本ジャズ音楽協会」会長賞受賞。

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