#01 『Fuji Yuki – Michel Henritzi – Harutaka Mochizuki / Shiroi Kao(白い顔)』
text by 剛田武 Takeshi Goda
An’archives CD: [An’15]
ふじゆき Fuji Yuki – vo on 2 & 3
望月治孝 Harutaka Mochizuki – as on 1 & 4
ミッシェル・アンリッツィ Michel Henritzi – lapsteel on 1,2,3 & 4, g on 2, perc on 2 & banjo on 3
1 Naki Tsuma No Kushi
2 Ano Koe Anata Datta No
3 We Turn In The Night Endless
4 Tsuki No Kage
地下音楽のネオジャポニズム
フランスのAn’archivesレーベルの「Free Wind Mood / 自由な風のように」シリーズの新作。フランスの前衛ギタリスト、ミッシェル・アンリッツィと、大阪のアンビエントデュオSarryの女性ヴォーカリスト、ふじゆき、静岡の即興サックス奏者、望月治孝のトリオ作品。トリオと言っても、一堂に会してレコーディングされた訳ではなく、日本側がそれぞれレコーディングした素材をアンリッツィがオーバーダブしエディットする形で制作された。
ふじゆきの呪術的なヴォーカル、望月のセンチメンタルなアルトサックス、そのどちらも日本の心の奥底にある「怨」を曝け出す演奏だが、アンリッツィが西洋的な「愁」を加えることにより、大陸から見たAnother Side of Japanの幽玄な世界が生まれている。装丁も含め和テイストが溢れる作風は、現代版ジャポニズムであり、現代日本地下音楽のエキスをヨーロッパ視点で捉えたものである。
リリース元のレーベルAn’archivesは、本年レビューで取り上げた2作品をはじめ、日本の地下音楽の個性派アーティストの音源を積極的にリリースしている。最新作はヒグチケイコ(vo, key)とSachiko(vo. electronics etc.)の女性デュオ、Albedo Fantasticaの1stアルバム。ロックから即興まで、今は亡きPSF Recordsの意志を引き継ぐかの如きAn’archivesのリリースにはこれからも注目していきたい。(2018年12月14日記 剛田武)
#1513 『橋本孝之+内田静男 / UH Takayuki Hashimoto + Shizuo Uchida』
#1533 『Harutaka Mochizuki, Makoto Kawashima / Free Wind Mood』