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このパフォーマンス2018(国内編)No. 249

#10 大野えり

text by Masahiko Yuh 悠雅彦

今年も、というべきか。とりわけこの数年は、ライヴの現場に足を運ぶことが多くなり、その分CDを聴く機会が極端にといっておかしくないほど減った。字義通り生きた音楽が聴けるのがライヴだ。まさに生身の演奏の面白さに取り憑かれると、試聴箱から飛び出す音がときには化石のようにしか聴こえないことが起こりうる。音楽とのこんな取り組み方が災いしてか、CD発売会社の方もサンプル盤の提供を控えたくなるのは人情というものだろう。だから、サンプル盤が来なかったからといってとやかく言ったことはないし、よほどの話題盤(1例はジョン・コルトレーンの『ザ・ロスト・アルバム』)でもなければさしたる関心も喚起しない。そんなわけで勢いライヴ演奏(ライヴ・ステージ)に高い関心が向かう。というわけで、何はともあれ今年、特に私の脳裏を強く打ったライヴを順に拾い上げてみよう。

 カート・エリング(1月、東京ブルーノート)、大西順子トリオ(2月、同)、野瀬栄進ソロ(4月、渋谷・高木クラヴィア)、狭間美帆&シエナ・ウィンド・オーケストラ(5月、東京芸術劇場、6月、文京シビックホール)、角田健一ビッグバンド(6月、紀尾井ホール)、山下洋輔スペシャル・ビッグバンド(7月、サントリーホール)、ジョナサン・カッツ Tokyo Big Band (7月、赤坂ビーフラット)、大野えり(8月、新宿ピットイン)、ジョン・スコフィールド(9月、N H Kホール)、ピーター・エヴァンス(9月、ARTせんがわ劇場)、山下洋輔ニューヨーク・トリオ(11月、東京文化会館小ホール)、デイヴ・グルーシン・ビッグバンド(11月、東京ブルーノート)。この中から、以下の2点を選んだ。

 <国内> 大野えり
https://jazztokyo.org/reviews/live-report/post-30995/
<海外> カート・エリング
https://jazztokyo.org/reviews/live-report/post-25256/

悠雅彦

悠 雅彦:1937年、神奈川県生まれ。早大文学部卒。ジャズ・シンガーを経てジャズ評論家に。現在、洗足学園音大講師。朝日新聞などに寄稿する他、「トーキン・ナップ・ジャズ」(ミュージックバード)のDJを務める。共著「ジャズCDの名鑑」(文春新書)、「モダン・ジャズの群像」「ぼくのジャズ・アメリカ」(共に音楽の友社)他。

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