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このディスク2018(海外編)No. 249

#14 『Alexander von Schlippenbach – Globe Unity Orchestra / Globe Unity – 50 Years』

text by Kazue Yokoi 横井一江

 

2年前の2016年11月、ベルリン・ジャズ祭でアレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ率いるグローブ・ユニティ・オーケストラ (GUO) 50周年記念コンサートが行われた時、40周年に続いてその場に居合わせることが出来て幸運だったと思う。なぜなら、初演時のメンバーを含む大御所からベテラン、中堅世代を取り込んだ編成でのコンサートは、作品演奏だった40周年コンサートと違い、完全即興演奏で、重層的な構造をもつサウンドの中で有機的にアンサンブルが変化していく様が面白かったからだ。本盤はその公演を収録した歴史的 CD といえる。

初演時 (1966年11月)に賛否両論を巻き起こした GUO だが、懐古趣味に陥るのではなく、現在の立ち位置でシュリッペンバッハ 自身の即興観に基づくラージアンサンブルの創造的可能性を探求している。来年以降の活動計画もあるようで、その衰えぬ前衛魂には感服するのみ。

本作のレビューは下記リンクになります。
https://jazztokyo.org/reviews/cd-dvd-review/post-26925/

横井一江

横井一江 Kazue Yokoi 北海道帯広市生まれ。音楽専門誌等に執筆、 雑誌・CD等に写真を提供。ドイツ年協賛企画『伯林大都会-交響楽 都市は漂う~東京-ベルリン2005』、横浜開港150周年企画『横浜発-鏡像』(2009年)、A.v.シュリッペンバッハ・トリオ2018年日本ツアー招聘などにも携わる。フェリス女子学院大学音楽学部非常勤講師「音楽情報論」(2002年~2004年)。著書に『アヴァンギャルド・ジャズ―ヨーロッパ・フリーの軌跡』(未知谷)、共著に『音と耳から考える』(アルテスパブリッシング)他。メールス ・フェスティヴァル第50回記。本『(Re) Visiting Moers Festival』(Moers Kultur GmbH, 2021)にも寄稿。The Jazz Journalist Association会員。趣味は料理。当誌「副編集長」。 http://kazueyokoi.exblog.jp/

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