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このパフォーマンス2018(海外編)No. 249

#03 R+R=Now: ロバート・グラスパー @Blue Note NYC

text by Hiro Honshuku

筆者が人生で心から感動したと言えるライブ体験、涙が止まらなくてどういたら良いかわからない状態に陥った経験は、3回ある。一つはボストンのパラマウント劇場でマイルスのステージを初めて見た時だ。マイルスが神に見えた。バンド全員が、あの普段ワイヤレスで右から左へ駆け回るダリル・ジョーンズまで身動きせずグルーヴし、マイルスの肩の動きに指令を読み取っていた。そのマイルスのスポットライトに浮き出された姿は、筆者にとって神だった。あとの二つのうちの一つは「カウント・ベイシー・オーケストラ」。トロンボーン・セクションがボヘ〜っと来た時にやられた。予期せず涙放出。あの超人的なタイトさにやられた。もう一つは「トリプル・トリート」。モンティー・アレキサンダー。ハーブ・エリス、レイ・ブラウン。この3人の特異なタイム感から生み出される、真のジャズのグルーヴに目頭が熱くなった。

この10月に経験したグラスパーのライブは、上記3つの体験とは少し違っていた。涙が溢れたというような感動を味あわせてくれるものではなかったが、筆者にとって多分一生忘れないであろう数少ないライブ体験になったことと思う。グラスパーは確実にマイルスを継いでいる。つまり、その時代を包括して次に進む音楽を構築するという作業だ。しかもマイルス同様ライブでのクリエイティビティーが実にスリル満点だ。

本誌ライブ・レポート:
#1041 R+R=Now: ロバート・グラスパー @Blue Note NYC
https://jazztokyo.org/reviews/live-report/robert-glasper-rrnow-live-at-blue-note-nyc/

ヒロ ホンシュク

本宿宏明 Hiroaki Honshuku 東京生まれ、鎌倉育ち。米ボストン在住。日大芸術学部フルート科を卒業。在学中、作曲法も修学。1987年1月ジャズを学ぶためバークリー音大入学、同年9月ニューイングランド音楽学院大学院ジャズ作曲科入学、演奏はデイヴ・ホランドに師事。1991年両校をsumma cum laude等3つの最優秀賞を獲得し同時に卒業。ニューイングランド音楽学院では作曲家ジョージ・ラッセルのアシスタントを務め、後に彼の「リヴィング・タイム・オーケストラ」の正式メンバーに招聘される。NYCを拠点に活動するブラジリアン・ジャズ・バンド「ハシャ・フォーラ」リーダー。『ハシャ・ス・マイルス』や『ハッピー・ファイヤー』などのアルバムが好評。ボストンではブラジル音楽で著名なフルート奏者、城戸夕果と双頭で『Love To Brasil Project』を率い活動中。 [ホームページ:RachaFora.com | HiroHonshuku.com] [ ヒロ・ホンシュク Facebook] [ ヒロ・ホンシュク Twitter] [ ヒロ・ホンシュク Instagram] [ ハシャ・フォーラ Facebook] [Love To Brasil Project Facebook]

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