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R.I.P. 齋藤徹No. 254

「獅子はまた眠りにつくか」金野ONNYK吉晃

text by Yoshiaki ONNYK Kinno 金野ONNYK吉晃
videotaped by Seiichi Nakatsubo 中坪清一

 

齋藤徹さんの訃報を聞き、言葉がありません。
実に大きな損失だと思います。
私は、北里義之さんのプロデュースした『ストーンアウト』始め、フリーでもピアソラでも、ダイナミックに演奏する多くの演奏を驚嘆しながら受け止めてきました。
盛岡には義理の弟さんがいて、彫刻家をしています。その関係もあって当地には何度もいらした。特に、ミシェル・ドネダと「春の旅2003」という日本ツアーを企画、03年3月18日に「開運橋のジョニー」でライブを私が主催しました。
そのとき、私は地元のピアニストと共に、最初で最後の共演をさせていただいたのでした。
百年程も弾かれずに眠っていた名器だというコントラバスを手に入れ、獅子の頭をしたスクロールのそれを紹介して、「私が死んだ後もこの楽器は鳴り続けるんだ」と愛おしげに語っておられたのが印象的でした。
ライブの前後以外にも、折々にお便りや資料を戴き、特にアーノンクールの書いたものを紹介していただいたのですが、古楽演奏家というに留まらないその視野には大きな示唆を与えられました。
ソロでもアンサンブルでも即興でもフォーマットがあっても、斎藤さんの演奏には全て志を感じました。共演者も聴衆も皆、齋藤さんの存在から何かを学んだと思います。
貴方は一本の古木とも共演できる人でした。
今は死を悼むことしかできませんが、貴方のまいた種は確実に芽を出しています。
ありがとう。

金野吉晃(el-g) 佐藤陽子(pf) ミシェル・ドネダ(sax) 齋藤徹(db)

 

金野 "onnyk" 吉晃

Yoshiaki "onnyk" Kinno 1957年、盛岡生まれ、現在も同地に居住。即興演奏家、自主レーベルAllelopathy 主宰。盛岡でのライブ録音をCD化して発表。 1976年頃から、演奏を開始。「第五列」の名称で国内外に散在するアマチュア演奏家たちと郵便を通じてネットワークを形成する。 1982年、エヴァン・パーカーとの共演を皮切りに国内外の多数の演奏家と、盛岡でライブ企画を続ける。Allelopathyの他、Bishop records(東京)、Public Eyesore (USA) 等、英国、欧州の自主レーベルからもアルバム(vinyl, CD, CDR, cassetteで)をリリース。 共演者に、エヴァン・パーカー、バリー・ガイ、竹田賢一、ジョン・ゾーン、フレッド・フリス、豊住芳三郎他。

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