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R.I.P. デヴィッド・ダーリングNo. 275

DAVID DARLING (1941-2021) by ECM

photo above by Byron Smith

チェリストのデイヴィッド・ダーリングが79歳で亡くなった。ユニークな即興演奏家であり、創造性に富んだ彼の演奏は、多くのECMのアルバムや映画のサウンドトラックで聴くことができる。1941年にインディアナ州エルクハートに生まれたデイヴィッドは、1970年代初頭にポール・ウィンター・コンソートのメンバーとして注目を集めたが、コンソートのメンバーにはのちの「オレゴン」のメンバーとなるラルフ・タウナー、グレン・ムーア、コリン・ウォルコット、ポール・マッキャンドレスが含まれてた。 ダーリングのECMデビューは1979年夏に録音されたタウナーーの『Old Friends, New Friends』(ECM1153) で、このときのメンバーはケニー・ウィーラー、エディ・ゴメス、マイケル・ディ・パスクアが参加していた。 このアルバムのあとまもなくリリースされたソロ・アルバム『Journal October』(ECM1161, 1980) は彼にとって重要なアルバムで、ダーリングがその後何年間にわたって追求していく分野のいくつかの萌芽を聴きとることができる。 『Journal October』や 、『Cello』(ECM1464, 1993)、『Dark Wood』(ECM1519, 1995)、 の完全なソロ・アルバムが彼の創造的な想像力を最も純粋に表現しているとすれば、デイヴィッドはまた音楽的なコラボレーションも楽しんでいたのだ。 たとえば、アルバム『Cycles』(ECM1219, 1981)ではコリン・ウォルコットと再会を果たし、ヤン・ガルバレク、スティーブ・キューン、アリルド・アンデルセンとの知己を得、『Eos』(ECM1263, 1983) はテリエ・リプダルとの長い付き合いの始まりとなり、テリエのアルバム『Skywards』(ECM1608, 1996) での共演につながっていった。 1990年代半ばには、ダーリングとリプダルは、ヨン・クリステンセン、ケティル・ビョルンスタと共に、『The Sea』(ECM1545, 1995)、『The Sea II』(ECM1663, 1998) でケティルのテーマを中心に即興演奏を行い、このカルテットは人気のツアー・バンドになっていく。 さらに、ダーリングとビョルンスタはデュオでツアーを行い、アルバム『The River』(ECM1593, 1996)と『Epigraphs』(ECM1684, 1998)を生み、後者では、両者のオリジナル楽曲とともにウィリアム・バード、オーランド・ギボンズ、ギヨーム・デュフェイの音楽を自由に編曲して収録した。アレンジしたものや、チェリストとピアニストのオリジナル曲を含む。その他のECMへの参加作は以下の通り。フレンチホルン奏者ジョン・クラークをリーダーとする『Faces』(ECM1176, 1980)、ポール・マッキャンドレス、デイヴ・サミュエルズ、ラッツォ・ハリス、マイケル・ディ・パスクァとの共同プロジェクト『Gallery』(ECM1206, 1981)、シンガーのシズル・エンドレセンの『Exile』(ECM1524, 1993)、スティーヴ・スワロー、ケニー・ウィーラー、ロベルト・オッタビアーノが参加したドラマー、ピエール・ファーヴルの『Window Steps』(ECM1584, 1995)などがある。

デイヴィッドのチェロの音と音楽は、ジャン=リュック・ゴダールの映画にも不可欠な要素となっており、1997年にECMからサウンドトラックがリリースされた『Nouvelle Vague (Complete Soundtrack)』(ECM1600/01, 1997) ケテxをはじめ、大作『Histoire(s) du Cinéma』(ECM1706-10, 1999)や、ECM Cinems DVD『Four Short Films』(2006)に収録された<The Old Place>などの作品で聴くことができる。(訳責:稲岡)

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