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中止 !! 3/07-08 日吉直行トリオ”彗平線”-2020春ツアー

text by Ring Okazaki 岡崎 凛

3月7日と8日、大阪市と西宮市で ”彗平線” 2020春ツアー『渡り鳥が見つめるは彗平線』のコンサートが開かれる。

Hiyoshi Naoyuki TRIO ”彗平線”:
日吉直行 (piano) 水谷浩章(bass) 芳垣安洋(drums)

3/07 (土) 大阪・阿波座martha
開場18:00 開演19:00
前売 3500円|当日4000円+2オーダー(¥1000)/学生料金(中学生以上)1500円+2オーダー(¥1000)/小学生以下無料

3/08 (日) 兵庫・西宮 フレンテホール スタジオf
開場17:30 開演18:00
前売3000円|当日3500円/学生料金(中学生以上)1500円/小学生以下無料(ドリンク代別途、1ドリンク制)

日吉直行は神戸在住のピアニスト。今回は関西地区のみのライヴ日程だが、昨年10月と12月に行われた日吉直行のコンサートの充実ぶりから関西のローカルな話題に留めておくのは惜しいだろう。ニュース原稿だが、まだ彼の演奏を聴いていない人のためにも、今回の2020春ツアーと日吉直行の今後の活動への期待を合わせてあえて私感を語らせていただこうと思う。

2019年度の日本のミュージシャンの中で誰が自分のMVPかと問われれば、迷いなく、日吉直行、と答えることができる。彼のデュオ、ソロ、トリオを聴いて、以前から積み上げてきたオリジナル曲を軸に、さらなる成長を遂げたと実感する。2019年はできるだけ日吉直行の生演奏に接しようと決めた年だったが、他のミュージシャンのライヴもできる限り聴いた。昨年を振り返って、日吉のステージはアカ・セカ・トリオやトニーニョ・オルタのそれに匹敵する魅力があった。2019年は彼にとって飛躍の年だったのではないかと思う。

彼の演目のメインは、〈まぼろし〉、〈はばたき〉といった美しいメロディーを持つオリジナル曲だ。ティグラン・ハマシアンやアントニオ・ロウレイロへのオマージュを込めた曲も演奏する。端正さをキープしながらも、躍動感に満ち、常に冒険的な試みを忘れないのが、日吉らしさだと思う。
最近は南米音楽に大きな関心を持っているという彼は、カルロス・アギーレの〈ミロンガ・グリス〉をよく取り上げ、昨年10月の京都でのソロ・ライヴでも歌心に満ちた演奏を聴かせてくれた。

ライヴステージの終了後、日本や海外のミュージシャンについての質問をすると、実に興味深い答を返してくれる。スイスのドラマーで、コリン・ヴァロン・トリオの一員として来日したジュリアン・サルトリウスのことに話が及ぶと、日吉は彼のドラムソロ・アルバムについて語り始め、「彼と共演してみたいですね」と笑顔になった。幅広い音楽知識に驚かされるが、それがいつか彼の演奏活動に反映されていくのだろう。これまでの彼を見ていれば、それが分かる。

彼のコンサートでは、ベストな音響環境を目指す姿勢を常に感じる。ピアノの調律が可能な場合は、鈴木優子氏が調律し、タイムマシンレコードのエンジニア五島昭彦氏が録音を担当する、というのが彼のコンサートの基本形となっているようだ。

さて、水谷浩章(bass) 、芳垣安洋(drums)という日本ジャズ界屈指の2人が加わる彼のトリオの2回目のコンサートを昨年12月に聴いた。このトリオは本誌の年末企画「このパフォーマンス2018」#07 でも書いたように、リスナーの詩情を存分に高めてくれる。
ドラムを叩くというより、ドラムやシンバルから生まれる音の全てを引き出すような芳垣安洋、これに反応しながらトリオの軸となるベーシスト水谷浩章が、ゆっくりと線画を描くような演奏すると、日吉直行は少しずつ色を重ねるようにピアノを鳴らす。こうして3人は、やがて訪れるクライマックスまでの変化に富んだ過程を、じっくりと楽しませてくれる。

2020年3月の”彗平線“トリオの公演と、彼らの今後にぜひ注目してほしいと思う。

〔関連動画〕
Naoyuki Hiyoshi – はばたき (Habataki) ピアノソロ
https://www.youtube.com/watch?v=OlF2tw3aeqQ&feature=youtu.be

Naoyuki Hiyoshi TRIO – Maboroshi(LIVE)
https://www.youtube.com/watch?v=lb3aVn22RXQ

Naoyuki Hiyoshi TRIO 2018年リリースのアルバム『POLYVERSAL』は下記のほか、多くの音楽配信サイトで扱いがある:https://mysound.jp/album/250439/

関連記事:12/01-08 日吉直行トリオ”彗平線”-2019冬ツアー
https://jazztokyo.org/news/post-46889/

岡崎凛

岡崎凛 Ring Okazaki 2000年頃から自分のブログなどに音楽記事を書く。その後スロヴァキアの音楽ファンとの交流をきっかけに中欧ジャズやフォークへの関心を強め、2014年にDU BOOKS「中央ヨーロッパ 現在進行形ミュージックシーン・ディスクガイド」でスロヴァキア、ハンガリー、チェコのアルバムを紹介。現在は関西の無料月刊ジャズ情報誌WAY OUT WESTで新譜を紹介中(月に2枚程度)。ピアノトリオ、フリージャズ、ブルースその他、あらゆる良盤に出会うのが楽しみです。

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