9/26 瀬川昌久「ビッグバンドの歴史〜トミー・ドーシーからマリア・シュナイダーまで〜」慶應義塾大学”拡張するジャズ”
Seiko presents 慶應義塾大学アートセンター“拡張するジャズ”
feat. 瀬川昌久
ビッグバンドの歴史 〜トミー・ドーシーからマリア・シュナイダーまで
2019年9月26日(木) 19:00〜20:30
慶應義塾大学三田キャンパス・北館ホール
ゲスト講師・瀬川昌久 進行・中川ヨウ
詳細と参加申し込みはPeatixへ
音楽評論の重鎮である、瀬川昌久氏がビッグバンドサウンドの変遷をたどるトークを慶應義塾大学アートセンターで行う。
瀬川氏は、1924年生まれで95歳を迎える。学習院に学び、1943年東京帝国大学法学部に入学。1944年、海軍の主計士官となるが国内で教官を務め、敗戦後、病院船「氷川丸」で復員業務にあたった後、東京大学に復学、1950年〜79年に富士銀行(現みずほ銀行)に在職し、1953年に最初のニューヨーク駐在、最先端のジャズとミュージカルに触れる。今となって何が凄いかと言えば、戦前のジャズとモダン歌謡をリアルタイムで聴き、「バド・パウエル、チャーリー・パーカー&ディジー・ガレスピー、スタン・ケントン、ビリー・ホリディ」のコンサートをカーネギーホールで観ている。ますますお元気だが、その記憶は日本音楽界の宝物であり、その肉声で語るのを聴き、ぜひ直接お話をしていただきたい。いや、語り部ではなく、現在も精力的に、執筆やプロデュースを続ける現役だ。最近はライブに行く機会が減ったと伺った気がするが、先日の東京JAZZ「ミシェル・ンデゲオチェロ/MISIA & 黒田卓也」の会場でもお見かけしたように(カマシ・ワシントンやスナーキー・パピーも行ったのかも)最先端への好奇心も留まるところを知らない。
今回のテーマに関連しては、瀬川氏のプロデュース、羽毛田耕士の徹底した採譜と再構築・ディレクションで、羽毛田耕士ビッグバンドとヴォーカルの紗理が、トミー・ドーシーからマリア・シュナイダーまでのサウンドの変遷を実演するコンサートを行っていて、もしかするとそのビデオも使う予定だという。欲を言えば、そのスコアによる羽毛田の解説もきいてみたいところだ。羽毛田は東京大学ジャズ研・管弦楽団に在籍し、慶應義塾大学ライト・ミュージック・ソサエティにも参加。作編曲で才能を発揮し、森寿男&ブルーコーツにレギュラーで参加、三宅裕司 & Light Joke Jazz Orchestraのバンマスを務め、デューク・エリントン・オーケストラの来日ツアーにも参加していた。
ビッグバンド自体に限らず、そこからジャズ全体、音楽シーン全体のサウンドの変遷を見ることになるので、小編成を指向する方にも有意義だし、挾間美帆をはじめ、最近急速に注目を浴びるラージアンサンブルの理解にもつながりそうだ。ビッグバンドのアンサンブルを戦前から愛し、ジャズの発展をビッグバンドサウンドの変遷の中に一貫して見通してきた瀬川氏の知見に耳を傾けたい。
高校や大学でジャズ、ビッグバンドを演奏している学生のみなさんにぜひ情報をお伝えいただき、ご出席いただけたら幸いだ。
菊地成孔「粋な電波」2016年3月4日
戦後日本のジャズは氷川丸から始まった