[TV] 4/17-18 小曽根 真&藤田真央 「夢の初共演の音楽会」4/10-11 角野隼斗&廣津留すみれ「今、注目のニュータイプの音楽家を知る休日」
Text by Hideo Kanno 神野秀雄
題名のない音楽会
「ジャズ界のレジェンドピアニスト・小曽根真
クラシック界の若き天才ピアニスト・藤田真央 夢の初共演の音楽会」
2021年4月17日(土)10:00 テレビ朝日
2021年4月18日(日)08:00 BS朝日 各地での放送時刻はこちら
出演:小曽根真、藤田真央
待ち望まれていた、小曽根 真と藤田真央の38歳の年齢差を超えた共演がついに実現、お互いに聞いてみたい質問で語り合い、圧巻の演奏を披露する。なお、小曽根が藤田と並んで新世代のピアニストとして注目し友情を結んでいる角野隼斗(Cateen かてぃん)、および、ヴァイオリニストで起業家、著作家の廣津留すみれ(ひろつるすみれ)も4月10日〜11日「今、注目のニュータイプの音楽家を知る休日」として、鈴木優人とともに出演するので記事後半で紹介したい。
ジャズとクラシックを越え世界でボーダーレスに活躍するピアニスト小曽根 真。1961年3月25日神戸生まれで、2021年に60歳を迎え、記念アルバム『OZONE 60』をリリースし、3月25日のサントリーホールを皮切りに全都道府県でのピアノソロツアーに乗り出す。『OZONE 60』のジャケットは1983年にCBSからリリースされたファーストアルバム『OZONE』へのセルフオマージュになっていることに注目だ。小曽根の世界への飛躍の始まりに遡ると、バークリー音楽大学でゲイリー・バートンと出会い、卒業と同時にグループに参加し『Real Life Hits』(ECM1293)、『Whiz Kids』(ECM1329)に参加、そして『OZONE』をリリース。その後も小曽根はさまざまな活動と並行してゲイリーとのデュオ活動を続け、ゲイリーは引退ツアーのパートナーに小曽根を選んだ。2020年4月〜5月には、53夜にわたる自宅からのピアノソロ配信「Welcome to Our Living Room」を行ったことでも話題になり、6月以降は各地でリアルのライヴ、コンサートを精力的に行っている。
小曽根のクラシックとの取り組みは、1996年、小松長生指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団でのガーシュウィン<ラプソディ・イン・ブルー>に始まるが、本格的になるのは、2003年、尾高忠明指揮、札幌交響楽団定期演奏会で「モーツァルトで、好きな協奏曲を選んでくれ」と依頼があり、協奏曲全集を聴き通して<ピアノ協奏曲 第9番 ジュノーム>を選んでから。今では世界中のオーケストラから招聘される多忙なソリストとなっている。
藤田真央は、1998年東京生まれの22歳。2019年6月チャイコフスキー国際コンクールで第2位を受賞。ネットでも世界に配信され、マエストロ・ワレリー・ゲルギエフの「MAOの存在は今回のコンクールのサプライズだという」賛辞とともに一躍脚光を浴びる。実は第一次予選で弾いたモーツァルト<ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調 K.330>が、聴衆の心を鷲掴みにしてスタンディング・オベーションとなり、関係者が控室に詰めかけ新聞にも取り上げられる騒ぎとなっていた。2020年には、1月〜2月のフランス「ラ・フォル・ジュルネ・ド・ナント 2020〜ベートーヴェン」(コンサートレポート参照)に出演。3月、東京音楽大学を卒業し、「第21回ホテルオークラ音楽賞」「第30回出光音楽賞」を受賞。COVID-19感染拡大の状況下でも日本、ロシア、ドイツなどでコンサートと配信を続けた。2021年には「モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会」(5回シリーズ)を予定している。
小曽根と藤田の特別な繋がりとしては、ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学における藤田の師キリル・ゲルシュタインとゲイリー・バートンの関係がある。キリルは14歳で史上最年少のバークリー音楽大学生となり、ゲイリー・バートンらの下でジャズを学んだ後、クラシックをマンハッタン音楽学校に学び、20歳で音楽の修士号を得たという特異な経歴を持つ。つまり、藤田はゲイリー・バートンの孫弟子ということになる。藤田は原田慶太楼との対談でキリルについて語っている。キリルとゲイリーの親交は今も続き、デュオ録音を残している他、2020年12月には、ハンス・アイスラー音楽大学の講義にゲイリーを招きネットでも公開している。キリル・ゲルシュタインは2021年1月に来日している。
藤田は音楽大学高校の課題で作曲した<パガニーニの主題による変奏曲>で終楽章をジャズ風に構成するにあたり、小曽根の演奏を聴きまくって参考にしたと語っており、また、モーツァルトへの深い敬愛と探究、直近でラフマニノフのピアノ協奏曲演奏を控えているという点でも小曽根と藤田のつながる点は多いと思われる。
題名のない音楽会
「今、注目のニュータイプの音楽家を知る休日」
2021年4月10日(土)10:00 テレビ朝日
2021年4月11日(日)08:00 BS朝日 各地での放送時刻はこちら
出演:鈴木優人、廣津留すみれ、角野隼斗、古坂大魔王
注目の若手人気音楽家の特集として、ハーヴァード大学とジュリアード音楽大学を首席卒業のヴァイオリニスト、著作家、起業家の廣津留すみれと東京大学大学院 情報理工学系研究科を修了したピアニスト角野隼斗(Cateen かてぃん)を招き、指揮者、作曲家、オリジナル楽器でのバロックから現代音楽までの取り組みなどを行ってきた鈴木優人とともに出演する。確かな実力はもちろん、従来なかった発想、方法、舞台で活躍する“ニュータイプ”な音楽家で、新しい方法で新たな音楽ファンを獲得している二人の魅力に迫る。この二人については活躍と方向性が幅広すぎるので手短かな紹介が難しいので、ぜひそれぞれのプロフィールをご覧いただきたい。
角野隼斗はピアノYouTuber「Cateen かてぃん」としても注目され、70万人に登録されている。2021年5月12日(水)・13日(木)、初めてブルーノート東京に出演することが決まった。MBSラジオ「メゾン・ド・ミュージック」で第2水曜日深夜25:00からのパーソナリティを担当し、「角野隼斗のはやとちりラジオ」として放送。2月10日に小曽根 真を招いた際の動画がアップされていて、クリスティアン・ぺツォールト作曲<バッハのメヌエット ト長調 BWV Anh.114>による即興デュオも見ることができる。
廣津留すみれは、3月27日(土)、紀尾井町サロンホールで「【ピアソラ生誕100年記念演奏会付き】廣津留すみれ講演・演奏会」、4月28日(水)HAKUJU HALLで「廣津留すみれ×石上真由子 デュオコンサート with 川本嘉子」を予定している。また、多数の著書にも注目したい。
Gotta Be Happy from 『OZONE 60』
【参考】 Singapore Symphony Orchestra: Conversation with the Artist – Makoto Ozone
00:55 Bienvenidos Al Mundo (Makoto Ozone)
20:53 Le Tombeau de Couperin (Maurice Ravel)
40:27 Asian Dream (Makoto Ozone)
※「シンガポール交響楽団:アーティストとの対話 小曽根 真」(英語)において、「Welcome to Our Living Room」の解説とともに、昼間のリビングルームからのピアノソロ演奏3曲が収録されているので、その雰囲気を感じていただければ幸いだ。
小曽根 真 Makoto Ozone “Solo” &”with friends” 2020年6月20〜21日 (このリンクした記事にセットリストと映像も収録)
ハンス・アイスラー音楽大学、ベルリン
ゲイリー・バートンを招いて/キリル・ゲルシュタイン
「インプロヴィゼーション・イン・ジャズ」 (2020年12月9日)
Kirill Gerstein invites Gary Burton
“Improvisation in Jazz” (December 9, 2020)
Hochschule für Musik Hanns Eisler, Berlin
【MUSIC TODAY Op. 33】原田慶太楼 & 藤田真央〜ドイツに拠点を置くことについて
藤田真央ピアノ・リサイタル〜全国10都市12公演を行った日本ツアー 最終公演から抜粋
2020年9月19日 東京オペラシティコンサートホール
マリインスキー歌劇場管弦楽団 ワレリー・ゲルギエフ指揮 藤田真央
藤田真央 モーツァルト コンサート
ザリャジエ・インターナショナル・フェスティバル2019
Mao Fujita plays Mozart at Zaryadye Festival
映画『蜜蜂と遠雷』より
藤倉大: 春と修羅 (風間塵ヴァージョン)
Blame It On My Youth – Kirill Gerstein and Gary Burton, The Gershwin Moment (2018)
角野隼斗 & 小曽根真 ボーダレスな音楽活動を展開する2人の音楽観
メゾンスミノ 2021年2月10日
クリスティアン・ぺツォールト作曲:バッハのメヌエット ト長調 BWV Anh.114 による即興
角野 隼斗/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18
TBS『バース・デイ』2021年3月20日 角野隼斗がJAZZに挑戦!! BLUE NOTEでどんなアレンジをするのか!?
※3月27日(土)16:29まで期間限定でTVerで視聴できる。
軽井沢スペシャルオンラインコンサート 廣津留すみれ
廣津留すみれ他、Grieg – Holberg Suite, Op.40, I. Praeludium ホルベルク組曲
Social Distancing String Quintet Ver.
Ensemble Genesis 2010