#06 小曽根 真 Welcome to Our Living Room
〜 自宅から53夜連続のピアノソロ配信

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Text by Hideo Kanno 神野秀雄

Welcome to Our Living Room
2020年4月9日〜5月30日 自宅リヴィングルーム
2020年5月31日 東急文化村オーチャードホール
ピアノ: 小曽根 真 Makoto Ozone
プロデュース: 小曽根 真、神野三鈴 Makoto Ozone & Misuzu Kanno
音響: 伊藤文善、植木浩司 Fumiyoshi Ito & Hiroshi Ueki (伊藤屋音響)
照明: 岡田勇輔 Yusuke Okada (川本舞台照明)
調律: 外山洋司 Hiroshi Toyama (松尾楽器商会)
映像: 小川 弾 Dan Ogawa (ナイスガイ)

ジャズ、クラシックなどのジャンルを超え世界で”ボーダーレス”に活躍するピアニスト小曽根 真が、パートナーで女優の神野三鈴との共同プロデュースで「Welcome to Our Living Room」(WOLRと略)と題して、4月9日から5月30日まで毎晩21時より52夜にわたって、自宅リビングルームからミニコンサートの配信を行い、終了を予告した後、5月31日は、オーチャードホールからの無観客コンサート配信をサプライズで行い「See you at your theater!」のメッセージとともに締め括った。

「Welcome to Our Living Room」の概要や映像については、こちらのニュース記事をご参照いただきたい。この記事ではヴァーチャルデュオの試みにも触れた。

WOLR動画アーカイヴは、YouTubeチャンネル「“Borderless Music” by Makoto Ozone」で公開されていたが、すでに公開を終了している。以下の「シンガポール交響楽団:アーティストとの対話 小曽根 真」(英語)において、WOLRの解説とともに、昼間のリビングルームからのピアノソロ演奏3曲が収録されているので、その雰囲気を感じていただければ幸いだ。実際にはFacebook動画としてリアルタイムで配信され、大量のコメントとリクエストがあがってきて、神野三鈴がそれを読み、カメラの切り替えなども行いながら進行していた。

【参考】 Singapore Symphony Orchestra: Conversation with the Artist – Makoto Ozone
00:55 Bienvenidos Al Mundo (Makoto Ozone)
20:53 Le Tombeau de Couperin (Maurice Ravel)
40:27 Asian Dream (Makoto Ozone)

COVID-19感染拡大とライヴ機会の縮小に伴い、ミュージシャン個人やジャズクラブなどからのネット配信の試みが始まり、テクニカルにも一定の準備と体制が確立したと言えるが、WOLRが全く異なる次元にあるのは、毎晩同じ時刻に欠かさず開催し、日本の世界の人々と継続して時間を共有したこと、また視聴者のコメントをリアルタイムで受け止めてインタラクティヴに、オリジナル、ジャズスタンダードに拘らず、新旧のポップス、クラシック、唱歌までできる限りの曲目を演奏したことだ。当時、不安の極致にあった医療従事者やリスナー、ミュージシャンに大きな救いとなり、ポジティヴに踏み出す勇気を与えたのは間違いがない。

また、SNSで口コミが広がって行き、メディアでも全国的にもかなり取り上げられた中、従来の小曽根ファン、ジャズファンですらなかった人々が集って来た。終盤にはリアルタイム視聴者数は8千人超、最終日は1万6千人(オーチャードホール8回分)を記録した。COVID-19でなくてもジャズファン層は縮小傾向も感じていたが、思わぬ広がりの可能性をもたらすことになった。

また「インタラクティヴに配信を観るのが楽しい!」で終らせることなく、オーチャードホールからのサプライズ配信に繋ぎ、「See you at your theater!」としてリアルなコンサート体験への希望に導くことに成功した。

Welcome to Our Living Room #53
2020年5月31日 東急文化村オーチャードホール

1. Gotta Be Happy (Makoto Ozone) 
2. Triste (Antônio Carlos Jobim)
3. Do You Know What It Means to Miss New Orleans? (Eddie DeLange /Louis Alter)
4. Heal The World (Michael Jackson)
5. Mirror Circle (Makoto Ozone)
6. Home (Makoto Ozone)
EC. Reborn (Makoto Ozone)

この後、ブルーノート東京は、6月13日「ブルーノート東京・オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロ」をもって、無観客配信を開始し、6月20日〜21日の小曽根 真 公演をもって、観覧としての再オープンを果たす。

2020年6月20日(土) 21日(日)
小曽根 真 Makoto Ozone “Solo” &”with friends”
(このリンクした記事にセットリストと映像も収録)
6/20 五十嵐一生(tp)、佐藤潤一(b)、6/21 中川英二郎(tb)、RIO(ukulele)が参加。

2020年8月3日(月)〜6日(木)
小曽根真 Makoto Ozone featuring No Name Horses
Back at the Club ‘15th Anniversary’

スペシャルメンバーとして、8/5-6 山岸竜之介(g)、Rising Starとして、8/3 武本和大(p)、8/4 中山拓海(sax)、8/5 曲輪大地(tp)、RINA(p)が参加。 No Name Horsesメンバーは記事末尾に記載。

そして、12月15日〜16日のオーチャードホールでの「小曽根 真 クリスマス・ジャズナイト 2020」。COVID-19の感染が再び拡大する中、ようやく開催を実現し、WOLRのラストメッセージ通りにオーチャードホールに集い、2021年への希望を共有することとなった。

2020年12月15日(火)〜16日(水) 東急文化村オーチャードホール
「小曽根真 クリスマス・ジャズナイト 2020 〜 Until We Vanish 15×15」
小曽根真 featuring No Name Horses

2020年12月15日 第1部
1. Puzzle (Makoto Ozone) 
2. Rainbow (Eric Miyashiro)
3. I Try to Imagine (Makoto Ozone) 
4. No Siesta (Makoto Ozone) 
5. Three Wishes (Makoto Ozone) 

2020年12月16日 第1部
1. Puzzle (Makoto Ozone) 
2. 12 Colors (Eijiro Nakagawa)
3. I Try to Imagine (Makoto Ozone) 
4. Three Wishes (Makoto Ozone) 

12月15日/16日共通 第2部
1. You’re My Heaven, You’re My Hell (Makoto Ozone) 
2. Carrots and Bread (Makoto Ozone) 
3. Turquoise (Jimmy Smith)
(Makoto Ozone, Ryunoske Yamagishi and Shinnosuke Takahashi)
4. Until We Vanish (Makoto Ozone) 

5. Silent Night (Franz Xaver Gruber) (with Lisa Ono)

小曽根真(p, Hammond), 中村健吾(b)、高橋信之介(ds)
エリック・ミヤシロ Eric Miyashiro、木幡光邦、奥村晶、岡崎好朗(tp, flgh)
中川英二郎(tb)、半田信英(tb)、山城純子(b-tb)
近藤和彦(as,ss,fl)、池田篤(as,fl)、三木俊雄(ts)、岡崎正典(ts, cl)、岩持芳宏(bs, bcl)
山岸竜之介(g) ゲスト: 小野リサ Lisa Ono

小曽根は、2021年3月25日に還暦を迎えるにあたり、全国での「OZONE 60」コンサートツアーと、ピアノソロアルバム
『OZONE 60』のリリースを予定。クラシックでは、ラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番にも挑む。コンサートスケジュールはこちら。2021年も小曽根の音楽に注目して行きたい。

最後に、WOLRについて克明に取材した記事が「Forbes Japan ウェブ版」に掲載されているので、参考として紹介しておきたい。

Forbes Japan ウェブ版より (文=柴田恵理)
1. 自宅リビングから53連夜。小曽根真ライブ、集客は「1晩でホール8個分」
2. 「世界のオゾネ」が妻、そして27万7000人と起こした奇跡
3. 世界のオゾネが「どこでもドア」から降臨。劇場という奇跡

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。東京JAZZ 2014で、マイク・スターン、ランディ・ブレッカーとの”共演”を果たしたらしい。

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