[Book] 8/31 『チック・コリアのA Work In Progress~音楽家として成長し続けるために』
『Chick Corea / A Work In Progress – On Being a Musician』

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Text by Hideo Kanno 神野秀雄

『チック・コリアのA Work In Progress(ワーク・イン・プログレス)~音楽家として成長し続けるために~』
原題:『Chick Corea / A Work in Progress – On Being a Musician』
訳者:八島敦子(やしまあつこ)

株式会社ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日:2021年8月31日  定価:2,090円(10%税込)  仕様:A5判/140ページ
ISBN:978-4-636-97850-6  商品コード:GTB01097850
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CONTENTS / 目次
INTRODUCTION / はじめに
CHAPTER 1 PERSONAL POLICIES AS A MUSICIAN / 音楽家としての個人的信条
CHAPTER 2 PLAYING A PIANO / ピアノを弾く
CHAPTER 3 COMPING / コンピング
CHAPTER 4 MAKING TIME / タイム感
CHAPTER 5 COMPOSING / 作曲
GLOSSARY 用語集
訳者あとがき(八島敦子)

2021年2月9日に79歳で急逝したチック・コリア(「60年間の音楽の旅」参照)。その音楽と人の魅力に加えて、チックの自由な音楽へのアプローチがあらためて注目されている。2020年には、COVID-19感染拡大の下で毎日自宅からのライヴ配信を行い、その先にチック・コリア・アカデミーを快調にスタートさせたが、本人不在となってしまったのは残念だ。もちろんワークショップのアーカイヴや資料などが満載なので未来に向けて活用されたらと思う。

『Chick Corea / A Work in Progress – On Being a Musician』 のオリジナルは、2002年に出版され、約40ページとコンパクトながら、チックの音楽観のエッセンスを記録し、英語とスペイン語で出版されていた。今回、初めて日本語化されるが、原文と翻訳を併記した対訳形式であることも嬉しい。訳者は、「東京JAZZ」のプロデューサーを長く務め、チックと親交を結んできた八島敦子(やしまあつこ)で(チックの最終来日公演は「東京JAZZ 2019」)、八島によれば2019年にチックから本書を翻訳する宿題を与えられたという。つまり、日本語版は追悼記念ではなく、生きているチックからのメッセージであり、さらに50代のチックの思考をまとめたものであることに注目しておきたい。

小曽根真が日本語版に添えたメッセージ:
「自分で見つけて初めて自分の言葉となる音楽。チックが一番大切にしていたもの……」

本文中のチック・コリアからのメッセージ(抜粋):
「技術や能力を身につけようとしても、その根底に自分自身の意志や理解、そして自らの欲求がなければ決して何も達成することはできない。(中略)自分自身の哲学や技術、そして物事へのアプローチ方法を磨き上げていくことこそが本当に必要なことだと思うからだ。」

ミュージシャンとしての心構えから、演奏、作曲、楽譜の書き方まで。ミュージシャンとして大切にしていることや、音楽的に成長するために重要なことについてまとめられ、ぜひお勧めしたい。

なお、チックは、同じタイトルの「Chick Corea: A Work in Progress」 というポッドキャストシリーズを残しており、無料で聴取できる。こちらも合わせてお勧めしたい。

著者について チック・コリア Chick Corea
ジャズミュージシャン、ピアニスト、作曲家。
1941年6月12日アメリカ・マサチューセッツ州生まれ。本名はアルマンド・アンソニー・コリア。父親の影響で4歳の頃からピアノを学ぶ。高校卒業後ニューヨークの音楽シーンで頭角を現し、アート・ブレイキー、スタン・ゲッツ、マイルス・デイヴィスらと共演。1966年、初リーダー・アルバムを録音。以来、ジャズシーンの最前線を走り続け、ピアニストとして新しい境地を開拓し続けた。また「リターン・トゥー・フォーエバー」「エレクトリック・バンド」などで革新的なエレクトリックキーボード奏者としても活躍。ストレート・アヘッド、アヴァンギャルド、ビバップ、フュージョンからクラシックまで、つねに最高峰のレベルで多彩な音楽活動をおこなった。晩年はコロナ禍のなか、ミュージシャン育成のために、オンラインによる「チック・コリア・ミュージック・アカデミー」を発足。グラミー賞を25 回受賞。2021年2月9日愛妻ゲイル・モラン・コリアに看取られながら逝去。享年79歳。

訳者について 八島敦子(やしま・あつこ)
エイトアイランズ株式会社代表取締役・プロデューサー。
父親の仕事の関係で8歳から11歳までアメリカ・シアトルで育つ。日本と海外の架け橋となるような仕事に就きたいと考え、早稲田大学政治経済学部で国際政治を学ぶかたわら同時通訳の勉強をする。大学卒業後、NTTでの仕事を通じ、都市計画に興味を持ち、慶應義塾大学大学院で建築・都市デザインを学ぶ。NHKエンタープライズ入社後は、国際ロボットコンテスト、フランスのクリスマス・マーケットの招聘、東日本大震災被災地支援プロジェクトMusic for Tomorrowなど国際交流事業やテレビ番組等を企画制作する。なかでも、立ち上げから15年以上にわたりプロデューサーを務めた「東京JAZZ」では、「国境を越えて、世代を超えて」をテーマに企画の立案や出演交渉をおこなった。2021年、エイトアイランズ株式会社を設立。長年の夢である「音楽と文化を通じて日本と世界を結ぶ」ことを目指し、コンサートやイベント、コンテンツのプロデュースに励んでいる。

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。東京JAZZ 2014で、マイク・スターン、ランディ・ブレッカーとの”共演”を果たしたらしい。

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