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3/26 ブルーレイDVD『土取利行/浜辺のサヌカイト』リリース

フリージャズ・ドラマー/パーカッショニストとして1970年代から活躍する一方、ピーター・ブルック国際劇団音楽監督を務め、1980年代には岐阜県郡上八幡に活動拠点として「立光学舎」を桃山晴衣と共に設立して日本の伝統文化再生にも取り組むなど多岐に亘る活動をしてきた土取利行は、サヌカイト、縄文鼓、銅鐸を演奏する古代音楽への取り組みを通して日本音楽の古層を探究してきたことでも知られる。

2022年2月、『サヌカイト・ライヴ Sanukaito Live』として1984年に土取利行の故郷讃岐で開催されたコンサートの録音が立光学舎レーベルより復刻された(→リンク)のに続いて、5月 16 日香川県観音寺市有明浜でサヌカイトを演奏した。その映像がブルーレイDVDとして、3月26日に立光学舎レーベルからリリースされる。自身が書いたライナーノーツによると「1984 年の初ライヴ翌年の青野山での演奏、六本木 WAVE での都市ライヴと、異なる場でサヌカイト演奏を行ないながら、いつか海、浜辺で演奏したいという思いをずっと持ち続けてきた」という。

さらに土取はライナーノートにこのように記している。

これまではサヌカイトを旧石器時代の石として捉えていたが、今回は視野を地質学へと広げていった。その背景には、以前から啓蒙を受けていた 同郷の解剖学者三木成夫氏や彼が影響を受けたとされるヘッケル、クラー ゲス、そしてゲーテに至る、生命の起源探求に大きな影響を残した科学者 や哲学者の思想があった。

ゲーテは太古の海を「広大な胎内」と呼び、鉱物の誕生進化が生物の誕生進化同様に母なる海から発生していることを示唆している。今回の演奏場所に選んだ観音寺の有明浜は、悠久の時を経て地殻変動で地表に出てきた花崗岩かが風化してマサ土となり、石英の多い砂土になり、白砂となって 変化を遂げ、美しい海岸の景色を呈する今では希少な場所である。
「数百万年にもおよぶ水辺の生活の中で、いつしか刻み込まれたであろう波打のリズムが、私にはどうしても人間の呼吸のリズムに深いかかわりがあるように思えてならないのです」と三木成夫氏の指摘もある。今回の「浜辺のサヌカイト」では、海と深く繋がっている月による潮汐リズム、それも満月時の潮汐に合わせて夕刻と深夜の二度にわたって演奏した。

今回CDではなく、ブルーレイDVDでのリリースとなったのはこのような理由があった。美しい映像とともに土取の音宇宙が広がる。土取の古代音楽の取り組みの現在を音だけではなく視覚的にも知ることができるまたとない作品だ。なお、この作品は浜辺でのサヌカイト演奏から約2ヶ月後に亡くなったピーター・ブルックに捧げられている。

 

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