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7/7−8 『ボンクリ・フェス2023』〜藤倉大、ヤン・バング、アイヴィン・オールセット、大友良英、レベッカ・ヘラー他 at 東京芸術劇場

Text by Hideo Kanno 神野秀雄

『ボンクリ・フェス2023』
『Born Creative Festival 2023』

2023年7月7日(金)〜8日(土) 東京芸術劇場
詳細は公式ウェブサイト

ロンドンを拠点に活躍する作曲家 藤倉 大が贈る『ボンクリ・フェス』。スペシャルコンサートを中心にさまざまなワークショップや無料プログラムで楽しむことができる。COVID-19の状況が落ち着いて、藤倉 大、ヤン・バング、アイヴィン・オールセット、レベッカ・ヘラーなどの来日も実現する。

『ボンクリ・フェスティヴァル』は”Born Creative” Festivalを略した名称。名づけ親は、音楽に国境はないという言葉をそのままに、様々なツールを駆使して、世界中のアーティストたちとボーダレスに繋がり、熱い視線を受ける気鋭の作曲家 藤倉 大。すべての人間は子どもの頃、「新しい音楽」や「新しい音」、子どもの言葉を借りると「変な音」が好きだが、なぜかそのクリエイティヴィティは成長するにつれ失われていくと藤倉は言う。アーティスティック・ディレクターに藤倉 大を迎え、この日のために東京芸術劇場に駆けつけた多くのアーティストたちと届ける贅沢なフェスティヴァル。長い1日をゆったり思い思いに過ごすもよし、短めの時間立ち寄るだけでもちょっとだけ発見があるプログラムを毎年楽しんできた。

「スペシャル・コンサート」では、スティーヴ・ライヒ「グランド・ストリート・カウンターポイント」のレベッカ・ヘラー(ファゴット)による世界初演、藤倉大「尺八協奏曲」(アンサンブル版)の世界初演、ハリス・キトス「ファイブ・ウェイズ・トゥ・ムーブ」の世界初演、大友良英の新作の世界初演、またそれ以外も日本初演が多く、これまでに聴いたことのない音を楽しむことができる。

このほか、誰でも無料で楽しめる無料プログラム、新しい音への扉を開くワークショップ・コンサート、コンサートホールが巨大なリスニングルームに変身!“出演者なし”の電子音楽コンサート(「大人ボンクリ」)など。 一部予約が必要な無料プログラムや有料ワークショップは枠が限られているので早めの申し込みをお勧めしたい。

プログラムの一部として、ノルウェーから来日し、ECM Recordsへの参加も多いヤン・バングとアイヴィン・オールセットらのワークショップコンサートを紹介しておきたい。

ヤン・バング-Reading the Air-Jan Bang-Reading the Air
2023年7月7日(金) 18:00~18:45 ギャラリー1(5F)
ノルウェーの部屋 “Last Two Inches of Sky”-The Norwegian Room
2023年7月8日(土) 12:00~12:45 ギャラリー1(5F)

Jan Bang ヤン・バング(Electronics)
Eivind Aarset アイヴィン・オールセット(Guitar & Electronics)
Anneli Drecker アンネリ・ドレッカー(Vocal)
Anders Engen アンデシュ・エンゲン(Drums)
Audun Erlien アウドゥン・エリエン(Bass & Electronics)


【八木美知依 & 藤倉 大 〜 “微美” at 新宿ピットイン 昼の部】
2023年7月2日(日) 14:00
八木美知依(エレクトリック21絃箏、17絃ベース箏、エレクトロニクス) 藤倉 大(シンセサイザー、エレクトロニクス)

「ボンクリ」から始まったデュオ・プロジェクト。2023年はおそらく八木美知依のスケジュールが合わなかったため別公演となり、世界で活躍する作曲家、藤倉 大が「昼ピ」に出演する。詳細と予約はこちら


©Alf Solbakken

●アーティスティック・ディレクター 藤倉 大より
「ボーン・クリエイティヴ」、略して「ボンクリ」。
これは、「人間は皆、生まれつきクリエイティヴだ」という意味。

僕が行っていた福島県相馬市での作曲教室では、5歳から高校生までを対象に世界から新しい音楽のエキスパートの演奏家を迎えて特殊技法等をみっちり紹介し、その場で子供達が新しい音楽(現代音楽と呼ぶ人も多いかも知れない)の作曲をする。しかもすべての音や指示を楽譜にきちんと記し、自分の作曲した作品をその場でプロの演奏家に演奏してもらう。そんな演奏家は、子供達が作曲中、子供達からの様々な楽器に対する質問に答え、試し弾きをしながら小さな作曲家たちとコラボレーションする。 子供たちのアイディアを楽譜にし、時には言葉が通じない海外からの演奏家らに問題なく自分たちの音楽を演奏してもらうスペシャルな環境だった。

この作曲教室を何年か継続していてわかったことは、全ての人間は子供の頃、「新しい音楽」「新しい音」、そして5歳の子供の言葉を借りると「変な音」が好きだったということだ。 なぜかそのクリエイティヴィティは成長するにつれ、失われていく。 この「ボンクリ」では、大人になっても5歳の子供のままクリエイティヴでいる人達の作品を紹介。今年はコロナも制限が許す限りの範囲で子供たちも参加でき、子供たちが演奏するコンサートがある。子供から大人までが新しい音楽に触れ、楽しめるイベント。一緒に音を体験するワークショップもあり、即興音楽もあり、エレクトロニクス(電子音楽)も、アンサンブル作品もある。東京芸術劇場館内に「新しい音楽」が満ち溢れる。

一生分、少なくとも1年分の“世界中の新しい響き”を堪能することができるまたとない機会。7月7日&8日は是非芸劇へ!

【藤倉 大 – JazzTokyo記事】
藤倉 大: ECM 私の1枚 『Tigran Hamasyan / Luys i Luso』

News: 藤倉 大: 初の自伝『どうしてこうなっちゃったか』

Satellite Sister – Dai Fujikura & Jan Bang

Dai Fujikura | Following | Rebekah Heller, bassoon

坂本龍一×藤倉大 ボンクリ・フェス2020 スペシャルトークイベント

坂本龍一:Cantus Omnibus Unus/PUNKT Live remix of Ryuichi Sakamoto’s Cantus Omnibus Unus

神野秀雄

神野秀雄 Hideo Kanno 福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。Facebookグループ「ECM Fan Group in Japan - Jazz, Classic & Beyond」を主催。ECMファンの情報交換に活用していただければ幸いだ。

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