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BooksReviews~No. 201

#002 ラングストン・ヒューズ『黒人街のシェイクスピア』

イトル:『黒人街のシェイクスピア』
サブタイトル:ラングストン・ヒューズ詩集(ピポー叢書68)
著 者:ラングストン・ヒューズ
訳 者:斉藤忠利
出版社:国文社
初 版:1958年
改訂版:1968年
定 価:¥1,648

ハーレム・ルネッサンスの中心人物のひとり、黒人詩人ラングストン・ヒューズの「Shakespeare in Harlem」(1942)。「Shakespeare in Harlem」は本書にも収録されている短い詩のタイトル。シェイクスピアの戯曲から採られたはやし言葉を使った詩だが、本人は「ハーレムの詩人」くらいの意味さ、と謙遜している。1年遅れでやってきた日本の「ブルース生誕100年」イベント。制作:マーチン・スコセッシ、監督:ヴィム・ヴェンダースの映画「ソウル・オブ・マン」が大ヒットし、メガストアでは「ブルース・フェスティバル」。仕掛けられたブームとはいえ、滅多に陽の当たらないブルースに音楽ファンが少しでも目をむけてくれるきっかけになればもっけの幸い。
本物のブルース、その真の意味を極めたい向きは本書にあたるべし。「夜風ブルース」だの「あんな女は はじめてブルース」だの「もう一度愛するブルース」だの、思わずオオッ!というタイトルが並んでいる。訳者の斉藤忠利氏は東大大学院から一橋の名誉教授に。ヒューズとも個人的なやりとりがあり、訳文はヒューズ自身が語っているような錯覚に陥るほど巧み。
氏の訳書は他に「ニグロと河」「驚異の野原」「夢の番人」(すべてL.ヒューズ/国文社)。(稲岡邦彌)
初出:JazzTokyo #7(2004.10.17)

稲岡邦彌

稲岡邦彌 Kenny Inaoka 兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。2004年創刊以来Jazz Tokyo編集長。音楽プロデューサーとして「Nadja 21」レーベル主宰。著書に『新版 ECMの真実』(カンパニー社)、編著に『増補改訂版 ECM catalog』(東京キララ社)『及川公生のサウンド・レシピ』(ユニコム)、共著に『ジャズCDの名盤』(文春新書)。2021年度「日本ジャズ音楽協会」会長賞受賞。

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