#004 悠雅彦著『ジャズ』〜進化・解体・再生の歴史
タイトル:『ジャズ』
サブタイトル:進化・解体・再生の歴史(音楽選書 78)
著 者:悠雅彦
出版社:音楽の友社
初 版:1998年5月15日
定 価:¥1,700+税
腰巻きにいわく《ジョン・コルトレーンがフリー・ジャズの荒波に力尽きたとき、ジャズもまた死んだのだろうか? ——従来の進歩史観を捨て、諸サイクルの交替の歴史としてジャズ史を読み直すとともに、常に20世紀アメリカ社会とともにあったジャズの真実をあますところなく描く。》
これは、1988年8月、癌を宣告された著者が再発を経て余命を意識した頃、勧められて音楽鑑賞教育委員会に入会、機関誌『音楽鑑賞教育』に92年3月から足掛け6年にわたって連載した「ジャズの歴史」である。
単なるジャズの通史に留まることなく、「あとがき」に記された著者独自の切り口、《約百年に及ぶジャズの歴史では、「草創期」「ビ・バップ革命」及び「ジャズ史の発展周期が一段落した六〇年代後半」の三パートにページ数を割いたのは、これらの時代がアフロ・アメリカ音楽史という観点からも極めて重要な意味をもつという、私自身の考えに従ったためである。》という観点に立って書かれている。
ジャズは社会から切り離された密室で行われてきたものではなく、つねに社会の動きに連動し、社会の動きを反映してきた(少なくとも80年代までは)ダイナミックな音楽であったことがよく理解できる。
初出:JazzTokyo 2004.9.30