JazzTokyo

Jazz and Far Beyond

閲覧回数 50,917 回

BooksNo. 261

#097『フリージャズ &フリーミュージック 1960~80:開かれた音楽のアンソロジー』(ディスクガイド編)
Free Jazz&Free Music 1960~80: Anthology for Open Music (Disc Guide)

text by Kenny Inaoka 稲岡邦彌

書 名:Free Jazz & Free Music 1960~80
開かれた音楽のアンソロジー Disk Guide編
著 者:末冨健夫・金野吉晃・河合孝治・横井一江・豊住芳三郎・川口賢哉・牧野はるみ・織田理史
企画制作:ちゃぷちゃぷレコード
編 集:末冨健夫・河合孝治
発行日: 2019年10月10日
価 格:¥2,442(オンデマンド/ペーパーバック/Amazon)
発行所: TPAF


本誌 Books #89で紹介した『Free Music 1960~80』の増補改訂版と言ったら良いのだろうか。いちばん大きな変更点はデータの追加である。つまりアルバムに参加したミュージシャンや演奏した曲目、演奏場所や日時の追加である。しかし、アルバムの解説(テキスト)の長さがまちまちなのでデータを収録するスペースが一定せず、データが不揃いだ。また、誤りも散見される。データ化した日本語のデータ(アルバム・データは英語)をアメリカに送付して出力〜印刷〜製本を委託するオンデマンド出版なので出力段階でレイアウトがばらけることもあり得るだろうが、それも校正で修正できるはずである。それがオンデマンドのメリットであるはずだ。カタログにとってデータの正確さは命である。校正・校閲は徹底的にやる必要がある。校正・校閲を犠牲にして予定通り出版したところで、ミスが多ければカタログの価値は半減する。内容が素晴らしいだけにあえて苦言を呈する。オンデマンドだからこそ修正はとことん可能なはずである。パソコンのアプリのバグ出しと同じ作業である。読者の力も借りれば良い。データが完璧になれば、海外からの需要も見込めるはずである。折角の労作である。再度、最後の詰めを期待したい。
なお、このカタログの内容についてはその詳細を Books #89「Free Music 1960~80」で紹介させていただいているので、ぜひ参照願いたい。新刊では、書名を「Free Music 1960~80」を「Free Jazz & Free Music 1960~80」に改題、より現実に即したものにした。

稲岡邦彌

稲岡邦彌 Kenny Inaoka 兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。2004年創刊以来Jazz Tokyo編集長。音楽プロデューサーとして「Nadja 21」レーベル主宰。著書に『新版 ECMの真実』(カンパニー社)、編著に『増補改訂版 ECM catalog』(東京キララ社)『及川公生のサウンド・レシピ』(ユニコム)、共著に『ジャズCDの名盤』(文春新書)。2021年度「日本ジャズ音楽協会」会長賞受賞。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください