JazzTokyo

Jazz and Far Beyond

閲覧回数 6,147 回

CD/DVD DisksNo. 316

#2334 『ルイ・アームストロング/この素晴らしき世界~ルイ・アームストロング ライヴ・アット・ザ・BBC』

ユニバーサル・ミュージック SHM-CD:UCCV-1200 ¥2,860(tax in)

text by Takeo Suetomi 末富健夫

ルイ・アームストロング (tp, vo)
タイリー・グレン (tb, vo)
ジョー・マレイニー (cl)
マーティ・ナポレオン (p)
バディ・カトレット (b)
ダニー・バルセロナ (ds)

1.南部の夕暮れ When It’s Sleepy Time Down South
2.インディアナ Indiana
3.夢を描くキッス A Kiss To Build a Dream On
4.ハロー・ドーリー! Hello, Dolly!
5.メイム Mame
6.ユール・ネヴァー・ウォーク・アローン You’ll Never Walk Alone
7.オール・ミス Ole Miss
8.ブルーベリー・ヒル Blueberry Hill
9.マック・ザ・ナイフ Mack The Knife
10.ロッキン・チェア Rockin’ Chair
11.ザ・ベアー・ネセシティ The Bare Necessities
12.この素晴らしき世界 What a Wonderful World
13.聖者の行進 When The Saints Go Marching In

1968年7月2日  英・ロンドンBBCにて録音



「ジャズ・ミュージシャンの誰を聴きますか。誰が好きですか。」と問うと、十中八九「マイルス、ビル・エヴァンス、後は女性ヴォーカル・・・。」との返事が返って来る。最近では、コルトレーンですらなかなか名前が出て来ない。これは、私が住んでいる地方の田舎町だからかもしれないが。私は、毎週「サウンドテック」というオーディオ・ショップの二階で「音人(オトナ)時間」と称して主にジャズのCD、LPをかける仕事に従事している。何を聴かせるかは私の裁量に任されている。まさか、セシル・テイラー、ペーター・ブロッツマン、デレク・ベイリーとはいかないので、かけて問題の起こらない?ジャズが中心となる。そこで、みなさん、どうも存在は知っているけど、普段聴くことは無いニューオリンズ/デキシーも積極的にかけるようにしている。フリー・ジャズを聴かない人は、まあ想像通り多い。と、いうより全滅に近いが、実はニューオリンズ/デキシーも同じくなのだ。

さて、ニューオリンズを飛び越えて、ジャズも飛び越えて広くポピュラー音楽の頂点に君臨するミュージシャンって誰だろう?と、考えるとルイ・アームストロング!ってことになるのは異論は無いと思う。そのルイ・アームストロングの代表曲と言えば、各人色々と思い浮かぶだろうが、『この素晴らしき世界』ってなるのでは?
その『この素晴らしき世界』に、もう一枚(配信の世の中では、何と言えばいいのだろう?)夢にまで見たもう一つの『この素晴らしき世界』が届いた!1968年の夏「この素晴らしき世界」が全英チャートでビートルズを抜いたのだったが、同年7月2日ルイ・アームストロングは、BBCにて<この素晴らしき世界><ハロー・ドリー!><マック・ザ・ナイフ><聖者の行進>その他、ルイの代表曲を再演していたのだった。生前のルイは、この録音を大いに気に入っており、コピーを受け取った後はよく来客に聴かせていたそうだ。ルイは、この音源の入った箱の外側に「For The Fans」と書かれたメモを張り付けた。それほどのお気に入りの音源だったのだが、56年経った今頃になってようやく我々「Fans」の耳に届くことになった。もうこれは快挙である。尽力された関係者に感謝!!
これまでこういったジャズを素通りしてきた「自称ジャズ・ファン」も、もっと広く「音楽ファン」もこの機会にこのアルバムを聴いて欲しい。ここには音楽の素晴らしさ、楽しさがギュ~と詰め込まれている。
ブックレットには、ルイ・アームストロングの伝記作家であり、ルイ・アームストロング・ハウス・ミュージーアムの研究コレクション責任者のリッキー・リカルディ氏によるライナーノートが掲載されています。CDやLPの良さは、音楽を楽しむだけに終わらない、ライナーノートからより多くの知識を得たり、写真を見たりできるところです。
このアルバムを聴いて、ルイ・アームストロングの初期OK盤までたどり着いて欲しい。ジャズの素晴らしさ、楽しさ、深さ、広さに気付くことでしょう。(ちゃぷちゃぷレコード 末冨健夫)

末冨健夫

末冨健夫(すえとみたけお) 1959年生まれ。山口県防府市在住。1989年、市内で喫茶店「カフェ・アモレス」をオープン。翌年から店内及び市内外のホール等で、内外のインプロヴァイザーを中心にライヴを企画。94年ちゃぷちゃぷレコードを立ち上げ、CD『姜泰煥』を発売。95年に閉店し、以前の仕事(貨物船の船長)に戻る。2013年に廃業。現在「ちゃぷちゃぷミュージック」でライヴの企画、子供の合唱団の運営等を、「ちゃぷちゃぷレコード」でCD/LP等の制作をしている。リトアニア NoBusiness Recordsと提携、当時の記録を中心としたChapChap seriesをスタート、第1期10タイトルに続き、今秋から第2期がスタートする。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください