# 331 『カオリ・ヴァイブス・カルテット/クロス・ポイント』〜Hear, there and everywhere #2
Urban Jazz 一期一会 3,024円(税込)
中島香里 (Vibraphone /06-Piano)
後藤 魂 (Piano)
吉木 稔 (Bass)
安藤正則 (Drums)
1. Cross Point
2. Old Leather Bag
3. Hanayuki
4. Dandelion
5. Golden Pine
6. Moonlights Underwater
7. Flicker
8. 遥かなるスペイン -A Ronda De La Ilusion-
9. at that Room
*All music composed by Kaori Nakajima except track 7 by Tamashi Goto
録音:2016年9月20-21日 新宿区角筈区民ホール
録音・マスタリング・エンジニア:富 正和
アート・ディレクション&デザイン:Nobuyoshi Shigihara(shigi3)
プロデューサー:坂東武博
非公開ステージ録音の一発録り。空間の響きを第一に。そしてエンジニアを含めて、緊張感で仕上げる「一発録り」。
ミックスダウン無し。筆者の得意とする分野でエンジニアも挑戦。
肝心のヴァイブラフォンは難しい音源の筆頭。それを切れのいいサウンドでかためて音像のエッジが明確だ。
バックのサウンドもホールのスペースに応答して空間がなんとも言えない。音像が薄墨の絵画を見ているようだ。
Hear, there and everywhere #2
text by Kenny Inaoka 稲岡邦彌
数年前に結婚したマリンバ奏者の吉田ミカとクラリネット奏者のリチャード・ストルツマン夫妻の新作『duo cantando』が本誌で紹介され話題を呼んだところへ、4本マレット奏法のマスター、ゲイリー・バートンの第一線からの引退ニュースが飛び込んできた。ゲイリーは創作活動は続けるものの、ツアーからは引退するようで、6月のオペラシティでの小曽根真との公演が日本でゲイリーを生で聴ける最後のチャンスとなるようだ。
本作『クロス・ポイント』は、ヴィブラフォン奏者中島香里のデビュー・アルバム。全曲オリジナルで固めた意欲作である(<Flicker>のみピアノの後藤魂の作品)。中島は中学から大学まではパーカッションを中心に演奏していたというが、本作でもパーカッシヴな演奏が随所で聴かれる。もっともヴィブラフォンは本来打楽器族で、クラシックでは木琴・鉄琴は打楽器奏者の担当だから、違和感はない(ジャンルは異なるが、マリンバとドラムセットを組み合わせてインプロを演奏する高田みどりはその好例)。だからこそ、<Hanayuki>や<Moonlight Underwater>などのバラード・プレイの流麗さが際立つのだろう。ジャズのヴァイブ(ヴァイブレーション)に触れるためだろうか時折りNYにも出かけているようで、<クロス・ポイント><オールド・レザー・バッグ><ゴールデン・パイン>などにはジャジーなグルーヴ感が充分反映されていて楽しい。クローザーの<アット・ザット・ルーム>などレイドバックした演奏はヴェテランの雰囲気さえ醸し出している。個別に触れることができなかったが、彼女をサポートする後藤魂、吉木稔、オープナーでフィーチャーされる安藤正則の好演も見逃せないところだ。
首都圏を中心に色々なユニットで精力的な活動を展開しているようなので、すでに彼女の演奏を生で耳にしたファンも多いのではないだろうか。(本誌編集長)