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及川公生の聴きどころチェックNo. 219

#281 『オノ・セイゲン/SEIGEN』

JVC  VICJ-61752  3,000円+tax

オノセイゲン (作曲 / perc / DX7 / p / delay sampler / tape / guitar)
清水靖晃 (作曲 / b-cla / p)
山木秀夫 (ds / perc)
笹路正徳 (p)
白井良明 (g)
土方隆行 (el-g)
金子飛鳥 (vln)
中西俊博 (作曲 / vln)
渡辺モリオ (b / DX)

 

01. マレット
02. マンハッタン
03. ウォーター・フロント
04. しかるにパート1
05. MODEL-93
06. 雲の速度
07. 5/8 RP
08. 水面上には
09. マンハッタン (ピアノ・ソロ)
10. みなそそく (Bonus Track)
11. プライムタイム・モデル 93 (Bonus Track)

初出:1984

 

オノセイゲン作品集。何を目指し何を録音作品として残そうとしたか!の集大成CD。ハイレゾ配信もあるが、誰でも聴けるCDの「聴きどころ」にこだわった。

すべてを聴き通すと、マルチチャンネル聴取環境が整っていない時期から、音像再現・音像移動に興味を持っていたことに、私は身震いをした。
そして、ピアニッシモの表現に、神経質な音質と音場に心を注いでいることだ。

私自身、楽器の演奏力はピアニッシモで決まる、生意気な言い方だが、と教えられた。録り方も「そうなのだ」。このCDを聴いて膝を叩いた。生であれシンセであれ、ピアニッシモが美しい。

遠くからズームアップされる楽器の存在感をリバーブの処理技術で表している...は憎いテクニック。コントラバスのアルコ、シンセの深層に迫る低音域。これがムズムズとオーディオ魂を揺すぶる。ピチカートで音程に従って音像がクルクル変わる...遊んでいると解釈。スティーヴ・ライヒを思わせる演奏に、音像移動を絡ませて音の色彩までを感じさせるのは、エンジニア魂がそうさせたか...。

 

及川公生

及川公生 Kimio Oikawa 1936年福岡県生まれ。FM東海(現 東京FM)技術部を経て独立。大阪万国博・鉄鋼館の音響技術や世界歌謡祭、ねむ・ジャズ・イン等のSRを担当。1976年以降ジャズ録音に専念し現在に至る。2003年度日本音響家協会賞受賞。東京芸術大学、洗足学園音楽大学非常勤講師を経て、現在、音響芸術専門学校非常勤講師。AES会員。

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